井嶋ナギの日本文化ノート

井嶋ナギ の日本文化ノート

井嶋ナギ のサイトです

早稲田大学オープンカレッジ 講座「歌舞伎で読み解く着物ファッション」レポート。このような内容で行いました!


昨年は、春・夏・秋と、早稲田大学エクステンションセンターにて連続で講座をおこなった一年でした。今年も、春・秋に講座を行う予定です! …というわけで、新年早々、去年を振り返りつつ今年を見据えるという意味で、昨年の講座のレポートを書きたいと思います。

昨年行った講座は、以下の3つの企画です。

歌舞伎で読み解く着物ファッション
 〜花魁、芸者から御殿女中、町娘に悪婆まで


江戸のラブストーリー「人情本」に見る江戸娘の着物ファッション
 〜『春色梅児誉美』を読んでみませんか?


名作映画に描かれた日本の美と享楽の世界
 〜歌舞伎、浮世絵から、任俠、花柳界、戦前モダン文化まで


というわけで、今回は、春に行った「歌舞伎で読み解く着物ファッション 〜花魁、芸者から御殿女中、町娘に悪婆まで」について、レポートします!



読み解くシリーズ 2014〜2015


2014年の当初から、ずっと続けている「読み解くシリーズ」(と、独自に命名しました笑)。

2014年には、人物像キャラクター篇として「人物像で読みとく着物ファッション 〜花魁、芸者から町娘、モダンガールまで」、続けて、名作日本文学篇として「着物で読み解く名作日本文学 〜夏目漱石から、泉鏡花に永井荷風、有吉佐和子まで」を開催。

そして、去年2015年は、(私自身が)待ちに待った歌舞伎篇!ということで、「歌舞伎で読み解く着物ファッション 〜花魁、芸者から御殿女中、町娘に悪婆まで」。つまり、歌舞伎を見てキモノを理解しよう&キモノで歌舞伎を読み解こう、という講座で、いや、楽しすぎました(私が笑)。


「人物像」を設定してキモノを見ていく、その理由


以前から折にふれて書いておりますが、昔のキモノ文化について、お話したり書いたりする際、私が非常にこだわって大切にしているのは、昔のキモノ文化をただ通時的に見るのではなく、「特定の職業や身分という枠を設定して見ていく」こと。つまり、人物像・キャラクターを設定して見ていく、ということなんです。

というのも、キモノが日常的だった江戸時代や明治大正期においては、身分や職業、既婚か未婚か、などによって、装いに大きな相違があったから。着るものや身に付けるものは、単なる個人の趣味の問題ではなく、その人の身分や職業などの「社会的な位置」を表す大切な「記号」だったわけです。そして、それこそが、現在においてキモノがちょっと難しくなってしまっている、大きな要因のひとつと言えるとも思うのですね。

なぜなら、今の時代、身分はない(ことになってる)し、年齢もとやかく言われない(ことになってる)ので、「江戸っ子な庶民の娘」ふうのキモノも手に入るし、「高い身分の武家の奥様」ふうの帯も手に入るし、「クロウトの姐さん」ふうの着こなしをしたっていい。でも、それらの「文脈」「意味」を全く知らなければ、すべてがごっちゃになってしまう、ということもあるわけで…。

キモノ文化が持っている「歴史」「意味」「文脈」


あるひとつの文化には、「歴史」「意味」「文脈」がある。もちろん、それをあえて無視することもよいかもしれません。でも、それをあえて無視するためにも、その背後にある「歴史」「意味」「文脈」を知る必要がある、と私は思うのです。

そんなキモノ文化のもっている「歴史」「意味」「文脈」を、具体的に・視覚的に・楽しくマスターするのにピッタリな教材は、実は、歌舞伎だ! と、そう常々思っていたので、満を持して、「歌舞伎で読み解くキモノファッション」を開催しました!

基本的に、毎回、「花魁・太夫」「芸者」「御殿女中」「娘(町娘、お嬢様、お姫様)」「年増(悪婆、女房、妾)」などの人物像・キャラクターを設定して、それらの人物像の歴史的背景を詳しく解説しつつ、ファッションの移り変わりを解説しつつ、さらに歌舞伎の映像も見る! という内容です(以下、各回のスライド表紙です。大好きな英山と英泉の浮世絵を使用しました)。

f:id:nagi0_0:20161223224555j:plain
f:id:nagi0_0:20161223224628j:plain
f:id:nagi0_0:20161223224543j:plain
f:id:nagi0_0:20161223224808j:plain
f:id:nagi0_0:20161223224705j:plain



「時代感覚」を大切にする、その理由


それと、もうひとつ、私がこだわっているのが、「時代感覚」です。

よくTVや雑誌などで「江戸文化特集」とかあったりすると、「江戸時代の吉原花魁は、こうこうこうでした」と一言で説明されたりしますよね。でも、江戸時代って、270年もあるんですよ〜! なので、「江戸時代の吉原花魁」と一言で言っても、江戸時代のどの時代なのか? によって内容が全く変わってしまうんです。だって、例えば、今から200年後の人に、「21世紀の女性のあいだで、『ソバージュ』と呼ばれるパーマヘアが流行した」って言われたら、「いや、違います」って思いますよね(笑)。でも、それと同じようなことがあるなぁ、と思ったりするんです(まぁ、TVや雑誌は、限られた制約のなかでコンパクトに解説しなければいけないので、仕方がないのだと思いますが)。

なので、私の講座では、できるだけ「年表」をお配りして、「時代の流れ」と「ファッションの変化」をしっかり対応させて理解する、というような内容にしたいと思ってやっています。なにかって言うと、年表を配って、そこに「享保の改革」だとか「日露戦争」だとか書いてあったりするので、「日本史の授業みたい…」と思われた方もいらっしゃったかもしれませんが(笑)。

例えば、「芸者」の回では、江戸時代〜昭和初期にかけての「芸者ファッション」の移り変わりを、時代を追いながら、細かく解説しました。「芸者」も、江戸時代270年のなかで、いろいろ細かく変化します。例えば、1700年代と1800年代では、芸者ファッションも変わりますし。また、「芸者」という職業がもつ意義・役割も、時代によって徐々に変化しますし。ひとことで、「江戸時代の芸者はこうでした」とか、カンタンには言えないのです。

深川芸者が登場する『盟三五大切』と『梅ごよみ』


ちなみに、「芸者」の回では、『盟三五大切』と『梅ごよみ』の歌舞伎映像をお見せしました。

盟三五大切(かみかけて さんご たいせつ)』は、鶴屋南北の作品。深川芸者・小万(時蔵)が、田舎モンの男を騙して金を巻き上げ、自分の男(仁左衛門)に貢ぐが、それを知った田舎モンの男に逆上され惨殺される、というお芝居。

梅ごよみ』は、私の大大愛読書『春色梅児誉美(しゅんしょく うめごよみ)』という為永春水の人情本を芝居化したもので、イケメン色男に惚れた2人の深川芸者・仇吉(玉三郎)と米八(勘三郎)が、男を争って貢ぐ、というお芝居。

えー、どちらも、「深川芸者」であることと、「惚れた男のために貢ぐ」というのが共通点ですね、はい。1800年代半ば頃まで、江戸ッ子たちから大人気だったのが、深川の芸者でした。吉原ほど格も値段も高くなく、カジュアルに遊べて、三味線などの芸も盛ん、サバサバとした気性が売りで、気に入れば転ぶこと(売春)も厭わなかったので、大人気だったそうですよ。


玉三郎&勘三郎の名演で見る、歌舞伎『梅ごよみ』

ここで、歌舞伎版『梅ごよみ』の映像のワンシーンをご紹介!(TVの衛星劇場chを撮影したものです) 『梅ごよみ』は、今回の講座でお見せした動画のなかで、イチバン「ウケた」映像でした(笑)。

f:id:nagi0_0:20161223224833j:plain


これは一体何をしているのか? と言いますと。深川芸者・米八(勘三郎)と、深川芸者・仇吉(玉三郎)は、イケメン丹次郎を取り合う恋のライバル同士。あるとき、米八(勘三郎)は、仇吉(玉三郎)がイケメン丹次郎に「羽織」をプレゼントしたのを知り、激しいジェラシーの炎を燃やします。ついにはその「羽織」を丹次郎から奪い取り、泥の中に投げつけ、上から駒下駄でエイエイッ!とばかりに踏みつけた! これに気づいた仇吉、米八に跳びかかり、「羽織」と「男」をめぐって、女2人のバトル勃発!(一方、イケメン丹次郎は、サッサとその場からトンズラ)

…というシーンです(笑)。勘三郎(左)の黒紋付きの出の衣装も素晴らしいですが、玉さま(右)の、薄紫がかった鼠色のしっとりとした地味な裾模様のキモノの、粋なこと! おそらく、帯もしっとりと染め帯でしょうね、半分だけ模様を見せた籠目柄は、キモノと同じ鼠色! でも地味になりすぎないよう、裾と袖の振りからチラリと見せる裏は、濃いめの卵色! この色彩コーディネート、やってみたいですね〜。

ちなみに。為永春水の原作『春色梅児誉美』には、上記のシーンは出てきません。実は、この「羽織をめぐるバトルシーン」は、続編にあたる『春色辰巳園(しゅんしょくたつみのその)』に出てくるのです。私は今から20年前、大学生の時にこの『春色梅児誉美』シリーズを読んで以来、このシリーズの大ファンでして…(拙書『色っぽいキモノ』でも何度か引用しました!)。江戸時代に刷られた和本も、持っております〜(自慢)♪ というわけで、私物の和本から、深川芸者・米八が、ジェラシーのあまり「羽織」を地面に叩きつけて、駒下駄でエイエイッと踏みつける! という衝撃シーンの挿し絵をご紹介。


f:id:nagi0_0:20161223224857j:plain


丹次郎「コレ、この女ァ、気がちがったか!」
米八「サァ、羽織を泥だらけにしたがわるいかァ!」

(『春色辰巳園』 第三編 巻の七 より)


キモノをめぐる人々のいとなみ=キモノ文化史


このような感じで、講座では、さまざまな資料をお見せしながら、できるだけ「多角的に」キモノ文化を味わい、楽しみながら、しかもちゃんと理解できる、というような講座にしたいと思ってやっております。私はつねづね、「キモノ」そのものだけにしか関心を持たないのは、もったいない、と思っておりまして。「キモノをめぐる文化」を知り、味わい、楽しむこと。それもまた、「キモノ」を愛でるひとつの方法だと思うのです。

そういえば、拙著『色っぽいキモノ』のAmazonレビューを見ると、たまに「色っぽい着付けの方法が書いてあると思ったのに、ほとんどなくて残念」と書かれていたりして、「申し訳なかったなぁ」と思ったりしたのですが、そうした物理的な「キモノそのもの」も勿論大切だと思うのですが、どちらかというと私は、「キモノをめぐる人々のいとなみ」のほうにどうしても興味がいってしまいがちで…。そのキモノを着て、何をするのか、どこへ行くのか、誰と会うのか、何を考え、何を思うのか。そして、人々の思想や行為に、キモノがどのように影響してきたのか。そういったことに、とても惹かれるのです。

そんなわけで、2016年4月から始まる、早稲田大学オープンカレッジの講座は、「キモノ文化史」というタイトルで行う予定です! 新たな情報は、3月頃、このブログとtwitterでお知らせしますので、ぜひぜひチェックしていただけたら嬉しいです。

最後になりましたが、「歌舞伎で読み解く着物ファッション」講座には、たくさんの方々がいらっしゃってくださいました。皆さま、本当にありがとうございました…! 




—— 関連記事 ——


早稲田大学エクステンションセンターの講座に関する記事

「人物像で読みとく着物ファッション
    〜花魁、芸者から町娘、モダンガールまで」

「人物像で読みとく着物ファッション」についてのレポートです

「着物で読み解く名作日本文学
    〜夏目漱石から、泉鏡花に永井荷風、有吉佐和子まで」


「歌舞伎で読み解く着物ファッション
    〜花魁、芸者から御殿女中、町娘に悪婆まで」



「江戸のラブストーリー『人情本』に見る、江戸娘の着物ファッション 〜『春色梅児誉美』を読んでみませんか?」
「江戸のラブストーリー「人情本」に見る江戸娘の着物ファッション」レポートです。 〜『春色辰巳園』を読んでみましょう!


「名作映画に描かれた日本の美と享楽の世界
   〜歌舞伎、浮世絵から、任俠、花柳界、戦前モダン文化まで」


「肉筆浮世絵展」に行ってきました。 〜英泉のアバズレ美と、表装の美。


f:id:nagi0_0:20161223224601j:plain


浮世絵としての肉筆画とは?


新年早々、上野の森美術館にて「肉筆浮世絵展」を見てきました!

唐突ですが、「えっ、肉? ニク?!」と思った方、いませんか? 今回、いろいろなところで、「肉筆浮世絵」「肉筆浮世絵」と何の説明もなく宣伝されていますが、「肉の筆って……なに……」と、声には出さねど心でつぶやいた方もいらっしゃったのでは…(数人は)。そんな素直な方のために書いておくと、この「肉」は、ステーキな意味での「肉」ではありません。「肉声」「肉眼」などと言う時の、「直接 direct」という意味での「肉」、ですね! つまり、「肉筆=ダイレクトに筆で描いたもの=プリントではない」という意味です。

浮世絵というと、普通は版画を思い浮かべるかもしれませんが、実は、浮世絵とは「その当時の風俗を描いた絵のジャンル」のことであって、浮世絵には、版画もあれば、筆で直接描いた絵(肉筆画)もありました。大量にプリントできる版画は値段も安かったのですが(1枚だいたい500円以下くらい)、一点ものである肉筆画は当然ながら値段が高く、美術品としての価値も肉筆画のほうがずっと上だったのです。


今回のこのコレクションの持ち主であるアメリカ人実業家・ウェストン氏は、もともと印籠など漆工芸品のコレクターだったそうで、肉筆浮世絵を集め始めたのはなんと、1990年代後半からだとか。図録の解説によると、彼の肉筆浮世絵コレクションには、以下の4つの特性があるそうです(図録P15より)。

1.肉筆画のみ
2.全時代を通して網羅的
3.美人画を中心とする
4.質の高い作品

特に、「版画は集めず、肉筆画のみを集める、浮世絵コレクター」は、とても珍しいのだそうですよ。




英泉、ああ、愛しのグロテスク美!


で、イキナリですが。私が今回、イチバン狂喜乱舞したのは、以下の一枚です(図録より)。


f:id:nagi0_0:20161223224535j:plain



大大大好きな渓斎英泉の「夏の洗い髪 美人図」!!!

これが「美人」か、って? 確かに、会場にいた女性2人組が、この絵を見て「うわ、バケモノ出た!」と言ってました(笑)。

正直言って私も、高校生くらいのころは、英泉が苦手でした。「うわ、気持ち悪い!」と思いました、はい。でも、大学生になって急にその魅力にハマってしまい、あとはもうヤミツキに…。最初は「うわ、何これマズイ!」と思ったのに、いつのまにか「う…うまいッ!」と思えてくる珍味のような…。大人になってからだんだんその「良さ」が分かってくる太地喜和子のような…(→参考:「太地喜和子ストリッパー3部作、『喜劇 男の泣きどころ』『喜劇 男の腕だめし』『喜劇 女の泣きどころ』のススメ」)。

とにかくですね、英泉の、「巨大な馬ヅラ」「シャクレあご」「受け口」「段違いになった、小さなツリ目」「やたらデカい足」「猫背」といった、グロテスク美が、もうたまらないんですよ。いったん「I LOVE❤ 英泉」になると、春信とか歌麿とかの「お品がいい」浮世絵を見た際には、

おやマァ、たいそうオツに澄ましておいでだヨ

なんて、アバズレめいたことをひとつふたつ言いたくなるんですよ!


f:id:nagi0_0:20161223224852j:plain



と、熱くなりましたが、そんな長年の英泉ファンの私、何が狂喜だったかというと、今回のこの作品の大きさ。ルーヴル美術館にあってもおかしくないくらい巨大だったこと、です! 普通の版画の浮世絵って、卓上サイズで、やっぱり小さいんですね。だけど、この肉筆画の英泉ときたら、全長約145cmもあるんです! この大きさで見上げる英泉には、本当に圧倒されました…。「美しいか」とか「美しくないか」とかどうでもいい、何か凄い迫力が目の前にある快感、がありましたね…。




表装の美しさにも注目すべし

それと、もうひとつ特筆に値するのが、それぞれの作品の「表装(ひょうそう)の素晴らしさ」、です。表装(ひょうそう)とは、書画を掛け軸などに仕立てること(ザックリですが)。今回の日本画に限って言えば、異なった色&柄&素材の、3種類(または2種類)の裂地をコーディネートして、作品のまわりを縁取り、作品の世界をグッと引き立てる、そんな重要な役割を果たすのが、表装。

以下、私の手書きの「表装の基本」解説。

f:id:nagi0_0:20161223224736j:plain


版画の浮世絵は、もともと安価でカジュアルな消耗品なので、特に表装されなかったのが普通。でも、肉筆画は一点ものの高価な日本画なので、表装されるのが普通です。なので、今回の展覧会でも、ほぼすべての作品が表装されていました。特に、前述の、英泉「夏の洗い髪美人図」の表装は、本当に素敵でした。

実際の表装は、↓こんな感じ(BS日テレ『ぶらぶら美術館』で取材されていたので、思わずTVを写メりました)。

f:id:nagi0_0:20161223224818j:plain


作品の色づかいに合わせて、黒とグリーンを基調とした裂地(黒の染めに、グリーンの糸で草花を刺繍した絹布)を「中廻し」に使用。この裂地は、おそらく高位の武家女性の小袖か打掛だと思います。

TVでは「中廻し」までしか写っていませんでしたが、さらに「」「」は、連続した松の柄のような柄を織り出した、茶色の織地でした。また、この表装には「一文字」がなかったので、中間くらいの「格」の少しカジュアルめの表装(たぶん、行の草)かと。ちなみに、着物と同じように、表装にも「格」(エライ順)があります(表装の「格」についてはコチラが詳しいです)。

昔から、ヨーロッパの美術館に行くと、私は絵そのものと同じくらい(もしくはそれ以上に)額縁(frame)に目が釘づけになっておりました。絵よりも額縁を見ている率のほうが高いくらいでした。表装も、額と同じようなものだと思います。が、しかし、通常、美術館の図録には額や表装は掲載されません。これが、以前から不満でして…。海外の美術館は撮影OKな場所が多いので写真をとればいいのですが、日本は撮影NGがほとんど(国立博物館はのぞく)。なので、気に入った表装は、何度も見て「記憶」します。絵をじーっと見て覚えて、今度は見ないで思い出す。これを数分おきにくり返す。そんな、人知れぬ努力をしてます(何の役にも立っていない)。



そんなわけで、すべて一点ものの貴重〜〜な肉筆画が、100点以上展示されているのが、今回の「肉筆浮世絵展」。いや、素晴らしかったです!




大富豪たちの正しいお金の使い方

それにしても、こんなすごいコレクションを所有している「ロジャー・ウェストン氏」って、一体ナニモノ? 図録によると、「銀行家・実業家」とのこと。検索してみたら…この方ですね(奥さまが美人!)。シカゴのグレイトバンクという、複数の銀行を有するホールディングカンパニーのCEO、とのこと。

あちらのお金持ちというのは、すごいですね〜。ガッポリ稼いだお金を、こういうものに使う! 詳しいことはわかりませんが、文化的なことにお金を使うことで、税制面で優遇されたり、金銭とは別に人々から尊敬や賞賛を得られたり、っていう社会的な基盤があるのでしょう。

もちろん、日本のお金持ちだって、そういう方はいらっしゃいます。「♪きのこのこのこ元気のこ、おいしいきのこはホクト♪」の、ホクト株式会社の創業者も、日本画をコレクションして長野に水野美術館を設立しています(→参考:「上村松園の描くキモノは意外と「粋」好み? 〜長野市「水野美術館」にて」)。また、電気機器で有名な村田製作所の創業者家の方が、海外に流出した明治期の工芸品をコツコツと買い戻し、京都に清水三年坂美術館をオープンされています(先日行きましたが、最高に素晴らしかったです!!!)。

でも、こうしている間にも、ハイクォリティな日本の美術品が、海外のお金持ちにどんどん買われてしまっている、ということが(図らずもウェストン氏のコレクションを見て)わかってしまいました…。わかりやすい高級車とか不動産とかだけでなく、こうした日本の美術品に価値を見出す「文化・芸術を愛する大富豪」が、日本にももっと増えますように…! と、他力本願な願い事を心中でつぶやいた新年。今年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。




—— 関連記事 ——


■ 「シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵展
  1/17(日)まで、上野の森美術館で開催中!

■ 「北斎80歳代の超人ぶりについて。 〜長野県小布施にて、北斎の肉筆画を見た記。

■ 「【日本を知るための100冊】007:飯島虚心『葛飾北斎伝』 〜北斎の強烈すぎる自負心と、そのエピソードについて。

キネマ旬報社刊『女優 夏目雅子』に寄稿しております。 もしくは、『鬼龍院花子の生涯』を見よ!!!!


お知らせです!

没後30年に合わせて発売された『女優 夏目雅子』(キネマ旬報社)に、エッセイ「いかにして彼女は、自らを転生させたか? 清楚と色気のキモノ女優考」を寄稿しております。

f:id:nagi0_0:20161223224512j:plain



「清楚と色気のキモノ女優考」…というタイトルで、夏目雅子とキモノについて書きました。とりあげた作品は、映画『鬼龍院花子の生涯』(五社英雄監督)と、TVドラマ『虹子の冒険』(久世光彦演出)と、TVドラマ『妻は告白する』(瀬川昌治監督)、の3作品です。

特に、映画『鬼龍院花子の生涯』は、拙著『色っぽいキモノ』でも書きましたが、高校生時代に、粋で色っぽいキモノというジャンルに覚醒するきっかけとなった作品であり、我が心のNo1ベストムーヴィであり、仲代達矢の大大大ファンになった作品でもあり……ちなみに、久しぶりにDVDを見返して、またもや号泣。泣きながら原稿書きました。


で、今回、夏目雅子作品(TVドラマも含む)の映像を、できうる限り見たのですが、夏目雅子って、現代の女優さんにしては、かなりキモノを着る割合が高いんですね〜。面白いなぁ、と思いました。そこで、きっと、作り手側(たいてい男性)は、夏目雅子にキモノを着せることで、夏目雅子に何らかのイメージを付与しようとしたに違いない…という仮説のもと、上記の「清楚と色気のキモノ女優考」を書いてみました。

意識するにせよ、無意識にせよ、やはり、現代においてキモノを着るということは、決して「自然なこと」ではないと、私は思っています(良い悪いではありません、念のため)。キモノが日常着ではない現代において、あえてキモノを着るという行動には、何らかの「意図」や「目的」があり、そしてそこには、何らかの「意味」や「イメージ」が否応なく発生してしまう。それをあえて無いこととしてふるまうのもひとつの選択ですが、私は、そうしたことをきちんと自覚したい、と思うのです。そういう意味で、「現代において、キモノという衣裳が(否応なしに)担ってしまう意味」についても、考察してみました。ぜひぜひ、読んでいただけたら嬉しいです!


f:id:nagi0_0:20161223224516j:plain



…という私のことはともかくとして。この本、とにかく、とっても素敵な本です!! 装丁やデザインも、スタイリッシュ!(←大事ですよね。マニアックな本ほど、スタイリッシュな装丁、大事ですよね!!) 内容も、夏目雅子の貴重な写真や、夏目雅子の昔のインタビュー記事再録など、盛りだくさん。

特に、映画業界の方々へのインタビューは、映画ファン必読! 『鬼龍院〜』で夏目雅子と共演した岩下志麻姐さんや、篠田正浩監督(岩下志麻の旦那様ですね)、『鬼龍院〜』の脚本家の高田宏治氏、津川雅彦佐藤浩市などのインタビューが、かなり貴重。特に、津川雅彦氏のインタビューが、ものすごく面白い!! 夏目雅子のイメージ、変わります。ひとつだけ書いちゃうと、夏目雅子が、鬼のシゴキで有名な相米慎二監督をdisってた話とか(笑)。ちなみに、佐藤浩市も、夏目雅子が相米監督を「ハゲ」とdisってたとバラしてました…(続きは本書をどうぞ!)。

そのほか、笠原和夫氏(任侠映画で有名な脚本家)が、夏目雅子で『緋牡丹博徒』みたいなものを撮りたがってたとか、高田宏治氏(任侠映画で有名な脚本家)と蔵原惟繕監督が、夏目雅子と仲代達矢で明治時代版『風と共に去りぬ』をやろうとしてた(脚本までできてた!)とか、篠田正浩監督は、夏目雅子で谷崎潤一郎の『武州公秘話』をやろうと思ってたとか、「うわーーーー見たかったーー」と思うような話もポロポロ。


にしても、夏目雅子は、ずいぶん、第一級の映画人たちに愛されていたのだなぁ、と改めて驚きました。当時、単なる美女なら他にもたくさんいたはずで…、夏目雅子には、美貌のほかに、そうしたクリエーターたちの心をグッと惹きつけるものがあった、としか思えません。

でも、それって、何だろう?


そういえば。本書での篠田正浩監督へのインタビューで、篠田監督が以下のようなことを仰っていたのが、非常に印象的でした。


「彼ら(『瀬戸内少年野球団』に出演していた、夏目雅子、渡辺謙、郷ひろみ)はみんなすごく礼儀正しく真面目でしたが、一番不良性を秘めていたのは夏目君でした。根本的に言うと、不良性のない、つまり本人の中に危険なものを秘めていない女優さんは、何を演っても同じになってしまうんです。夏目君にはいつ壊れるかもしれないという、内面のマグマを秘めていたんじゃないか。」



これ、演技だけではない、なにか、人間の魅力や芸術の引力といったことに関する「本質」をついているような気がしてなりません。特に、芸術ジャンルにおいて、このことはすべてに言えることなのではないでしょうか?


あ、ちなみに、この篠田監督の言う「不良性」とは、表面的な浅いカテゴリーでの「不良」(暴れたり、遊びまわったり、ハデだったり、チャラかったり、酒・性・賭事・薬物・軽犯罪…といった表面的な言動スタイルによりカテゴライズされるところの「いわゆる不良」)という意味ではないでしょう。えーと、ちなみに、こういう表層的な言動パターンにより帰結する不良さんって、内面はわりと常識的でごく普通だったりします(良い悪いではなく、客観的に)。

じゃあ、篠田監督が言ってる「不良」って何だ? っていうと、外見や普段の言動からは全く分からないが、当人にもどうにもしようがない「熱さの塊」「過激な魂」を内面に抱えている人、のことではないか、と。これを、「業」とも言いますが。

それでも、「えー。それって何のこと? それってどういう人のことよ?!」と、もしも、さらに聞かれたならば。

とにもかくにも、

五社英雄監督と高田宏治と仲代達矢と夏目雅子と岩下志麻と夏木マリがおのおののアツい「業」をぶつけ合い燃え上がり灰となって散る『鬼龍院花子の生涯』を見よ!!!!

 …ということで、ひとまずは答えとしたいと思います。




—— 関連記事 ——


■ 「キネマ旬報」にて、若尾文子作品のキモノについて書いております。

■ 秋講座:早稲田大学オープンカレッジ「名作映画に描かれた日本の美と享楽の世界 〜歌舞伎、浮世絵から、任俠、花柳界、戦前モダン文化まで」のお知らせ

■ 映画『小さいおうち』のパンフレットに寄稿しました。 〜もしくは、昭和モダンの装いについて。

■ 太地喜和子ストリッパー3部作、『喜劇 男の泣きどころ』『喜劇 男の腕だめし』『喜劇 女の泣きどころ』のススメ。

■ 今更ですが、大河ドラマ『平清盛』を見ましたの記。その3 〜今度こそよーーくわかる保元の乱!
■ 今更ですが、大河ドラマ『平清盛』を見ましたの記。その2 〜王家=天皇家の人々の「闇」っぷりが凄い!
■ 今更ですが、大河ドラマ『平清盛』を見ましたの記。その1 〜平安時代末期と妖しい人間関係を楽しむ!

秋講座:早稲田大学オープンカレッジ「名作映画に描かれた日本の美と享楽の世界 〜歌舞伎、浮世絵から、任俠、花柳界、戦前モダン文化まで」のお知らせ


お知らせです。春・夏に引き続き、秋も早稲田大学オープンカレッジにて講座を行います! 題して、


「名作映画に描かれた日本の美と享楽の世界 〜歌舞伎、浮世絵から、任侠、花柳界、戦前モダン文化まで」


f:id:nagi0_0:20161223224507j:plain



今回の秋講座のテーマは、日本映画 × 日本文化、です。一言で言えば、昔の名作日本映画を見ながら、教科書では教えてくれない日本文化について学んでみませんか? という講座です。

…で、教科書では教えてくれない日本文化、って何だ? というと、えーと、つまり、良俗に反してたり、反社会的だったり、いかがわしかったり、エロかったり、ミーハーだったり、というような文化のことです…。とても人気があってポピュラーだった文化でも、そうしたある意味でいかがわしいような文化は、教科書にはなかなか載りません(100年以上経ったら載るかもしれませんが…)。そこで、今回の講座では、「歌舞伎」「浮世絵・吉原」「花柳界」「任侠世界」「戦前モダン文化」の5つの日本文化を選んでみました。

実は、上記の5つの日本文化って、映画やドラマやお芝居やら小説やら漫画などのエンターテイメント作品では、非常に「おなじみの世界」なんです。それなのに、その世界のシステムやルール、起源や歴史、文化や習俗については、私たちはあまり分かっていなかったりする。当然ながら、学校や教科書では教えてくれないし、親にもちょっと聞きづらい(笑)。そのため、何となく作品を見てもモヤモヤ感が残ったりするんですよね…。

というわけで、そんな今までのモヤモヤ感を、一気に解消しちゃいましょう! というのがこの講座の趣旨です。もちろん、その背景世界について詳しいことを知らなくたって、映画やドラマを楽しむことはできます(ただし良い出来の作品の場合)。でも、背景文化を知っていたほうが、より理解が深まるし、より楽しめるのではないでしょうか? また、特に今までモヤモヤしてたわけじゃなくても、「これから昔の日本映画をいろいろ楽しみたい!」とか「映画をネタにして日本文化についていろいろ学びたい!」とか、そういう方も大歓迎です。


個人的な話をすれば、私は、高校生のときから古い日本映画の虜になってしまい、その後、20年以上、名画座に通いつつ古い日本映画をずーっと見続けてきました。拙著『色っぽいキモノ』にも書きましたが、キモノの魅力に目覚めたのも、古い日本映画がきっかけでした(→正確に言えば、『鬼龍院花子の生涯』が決定的でした!)。そうした古い邦画を次々と見ているうちに、やたらと映画の背景になっている、吉原とか、花柳界とか、任俠世界とか、って、一体なに? と思うようになったんです。そういうこともあって、大学では、江戸文学を専攻することになったのですが。それにしても、ほんの50年前の映画なのに、こんなに未知の世界が描かれているとは……と、不思議に思ったものです。

だいたい、そもそもなんですけど、一体、なんで、1970年代にあんなに任俠映画が流行したんだ?! とか(笑)。学生時代、藤純子主演の任侠映画を見て泣きながら、一方でずっとモヤモヤしてましたね…。私の見ているコレは一体何なんだろう、と。

あ、そうそう、今回の講座の目玉は、「任俠世界」の回です!(と、勝手に自分で思ってるだけですけど) 例えば、任侠ヤクザ世界が(江戸時代〜近代を通して)どのように変化していったのかとか、1970年代に流行した任侠映画とは何だったのかとか、また、似たようなタイトルばかり並ぶなかで最低限見るべきものはどれかとか、はたまた、女博徒のカッコイイ粋なキモノファッション考! などなど、暑苦しく追究したいと思っております!!(ちなみに、トップに掲載した画像は、『日本女俠伝 俠客芸者』の藤純子さまです!)


というわけで、みなさま、秋の土曜のお昼に、日本映画と日本文化をじわじわ味わってみませんか? ぜひぜひ、お気軽にご参加いただけたら嬉しいです…!




「名作映画に描かれた日本の美と享楽の世界 〜歌舞伎、浮世絵から、任侠、花柳界、戦前モダン文化まで」

【日程】10/03(土), 10/17(土), 10/31(土), 11/14土), 11/28(土)
【時間】15:00~16:30(90分)
【場所】中野校キャンパス →MAP
    (JR中央線・総武線、メトロ東西線「中野駅」徒歩10分)
詳細はコチラ

【講義目標】
名画座やDVD・衛星放送などの普及により、古い日本映画が改めて注目されている昨今。日本映画に好んで取り上げられてきた背景文化を知ることで、より深く作品を楽しむと同時に、過去の日本人が憧れた大衆文化の姿を再認識したいと考えています。

【講義概要】
過去の日本映画において重要な、「歌舞伎」「浮世絵・吉原」「花柳界」「任侠世界」「戦前モダン文化」の5つの背景文化を取り上げ、その歴史や文化、映画史上での位置付けについて等々、幅広く考察していきます。毎回、DVDや未ソフト化の貴重映像などを鑑賞しながら進める予定です。


【各回の講義内容】
10/03 【歌舞伎】歌舞伎の影響、歌舞伎役者の活躍
           〜『紅葉狩』『雪之丞変化』ほか
10/17 【浮世絵・吉原】人気浮世絵師と吉原遊郭
           〜 『写楽』『歌麿をめぐる五人の女』ほか

10/31 【花柳界】芸者と遊女、その歴史と生活
           〜『日本橋』『夜の波紋』『廓育ち』ほか

11/14 【任俠世界】俠客、博徒、そして女侠客
           〜『次郎長三国志』『緋牡丹博徒』ほか

11/28 【戦前モダン文化】昭和初期のモダンガールと都市
           〜『淑女は何を忘れたか』『金環蝕』ほか




【受講費】
「早稲田大学オープンカレッジ」会員の方 11,826円
「早稲田大学オープンカレッジ」会員ではない方(ビジター) 13,608円

★「早稲田大学オープンカレッジ」会員について
・会員の有効期限は、入会年度を含めて4年度間(3月末日まで)
・入会金8,000円
・入会金6,000円の特例あり(早稲田大学卒業生、早稲田大学在学生父母、東京都新宿区・中央区・中野区に在住・在勤の場合ほか)
・会員にならずにビジターとしての受講も可能です
・詳細はコチラ

【定員】30人
【申込受付】一般・ビジターともに、受付中。
【申込方法】Web、Tel、Fax、各校事務所窓口
・詳細はコチラ







—— 関連記事 ——


■ 「キネマ旬報」にて、若尾文子作品のキモノについて書いております。
■ 映画『小さいおうち』のパンフレットに寄稿しました。 〜もしくは、昭和モダンの装いについて。


■ 春講座:早稲田大学オープンカレッジ「歌舞伎で読み解く着物ファッション 〜花魁、芸者から御殿女中、町娘に悪婆まで」のお知らせ
■ 早稲田大学オープンカレッジ 講座「着物で読み解く名作日本文学 〜夏目漱石から、泉鏡花に永井荷風、有吉佐和子まで」のお知らせ
■ 早稲田大学オープンカレッジ 講座「人物像で読みとく着物ファッション」についての、レポートです。
■ 早稲田大学オープンカレッジ 講座「人物像で読みとく着物ファッション 〜花魁、芸者から町娘、モダンガールまで」のお知らせ
■ アサヒアートスクエアで「江戸OL着物トークショウ」を行いました。

夏講座:早稲田大学オープンカレッジ「江戸のラブストーリー「人情本」に見る、江戸娘の着物ファッション」のお知らせ 〜『春色梅児誉美』を読んでみませんか?


お知らせです。春に引き続き、夏も早稲田大学オープンカレッジにて講座を行います! 「魅惑の都市・大江戸の食と娯楽」という、全5回のオムニバス講座のなかの、1回を担当します。
(下画像は、マイコレクションの『春色梅児誉美』全12冊。約180年前の和本です。)

f:id:nagi0_0:20161223224453j:plain


私が行う講座は、9/3「江戸のラブストーリー「人情本」に見る、江戸娘の着物ファッション」。

人情本とは、江戸時代後期に流行した恋愛小説ジャンルのこと。いきいきとした会話、繊細な心理描写、また、ファッションについての細かな記述や、流行事物を積極的に取り入れた内容で、当時の人々の生活を知るのに最適です。

人情本のなかでも、最大のベストセラーとなったのが、『春色梅児誉美(しゅんしょく うめごよみ)』(天保3〜4年(1832-33) 為永春水)。『春色梅児誉美』は、江戸時代のみならず、幕末から明治・大正・昭和初期にかけて長く親しまれ、日本の近代文学(特に花柳文学)大きな影響を与えました。永井荷風の『新橋夜話』のなかの傑作『風邪ごこち』でも、丸の内の会社をドロップアウトして芸者のヒモをしている男が『春色梅児誉美』を愛読している描写があるほど(→詳しくは、拙著『色っぽいキモノ』P44をご覧ください)。

江戸人のみならず近代人の心までを虜にした、江戸後期の人情本『春色梅児誉美』を読みながら、江戸後期のオシャレや恋愛事情、花柳界事情などを読み解いてみませんか?

今回は、マイコレクションである約180年前の和本『春色梅児誉美』全12冊をお持ちする予定です!!(上画像) ぜひお気軽にご参加くださいませ♪ 




魅惑の都市・大江戸の食と娯楽

【日程】7/23(木), 7/30(木), 8/6(木), 8/27(木), 9/3(木) 
【時間】13:00~14:30(90分)
【場所】中野校キャンパス →MAP
    (JR中央線・総武線、東京メトロ東西線 「中野駅」徒歩10分)
詳細はコチラ

【講義概要】

豊かな衣食文化や芸能が花開いた粋な江戸時代の暮らしを、「食」と「娯楽」という視点から体感する講座です。現代に受け継がれる「料理」「浪曲」「落語」「三味線」「着物」各分野の講師陣がオムニバス形式で楽しみ方をお伝えします。思わず誰かに話したくなる、大江戸の魅力に触れてみましょう。


【各回の講義内容】

7/23(木) 江戸の料理と養生の知恵
講師:大久保洋子((一社)日本家政学会食文化研究部会長、実践女子大学元教授)
ファストフードのルーツは江戸時代ともいわれ、外食が発展した江戸時代の食文化には、現代を生きる私たちに示唆を与える要素もたくさんあります。和食が完成した江戸時代の庶民の食生活を知り、江戸の料理と養生の知恵についてお話します。



7/30(木) おいしい浪曲の愉しみ
講師:布目英一(月刊浪曲編集人、横浜にぎわい座企画コーディネーター)

「江戸っ子だってねえ」「神田の生まれよ」「飲みねえ、寿司を食いねえ」これは誰もが知っていた名文句、もとは広沢虎造の浪曲です。浪曲、落語、歌舞伎などに登場する食べ物は作品の内容を身近に感じさせる効果があったようです。実際にそれらの作品を鑑賞しながらその効果を探っていきましょう。



8/6(木) 江戸の庶民芸能「落語」を探る

講師:瀧口雅仁(芸能史研究家、恵泉女学園大学講師)
落語は江戸の文化人が興した、江戸の粋が凝縮された芸能です。どんな人達がどんな形で落語を生み、そしてそれをどう伝え、広めていったのか。烏亭焉馬、初代可楽、圓朝といった落語家の芸と業績を考証しながら、江戸と落語の深い関係に迫っていきます。


8/27(木) 江戸三味線の世界

講師:宮澤やすみ(神仏研究家、小唄師範)
端唄、都都逸(俗曲)、小唄など、江戸ならではの粋な三味線の世界を、実演を交えてご紹介します。三味線の古典である長唄や上方三味線などとの楽器の違いにも触れながら、風流江戸好みの音色の特徴とその世界観に触れてみましょう。



9/3(木) 江戸のラブストーリー「人情本」に見る、江戸娘の着物ファッション

講師:井嶋ナギ(着物研究家、文筆家)

江戸後期に流行したラブストーリー「人情本」は、ヒロインたちの衣裳の描写が非常に詳しく、当時の着物の流行を知るのに最適です。恋愛物語の面白さも味わいながら、江戸娘のおしゃれを読み解いていきましょう。




【受講費】
「早稲田大学オープンカレッジ」会員の方 11,826円
「早稲田大学オープンカレッジ」会員ではない方(ビジター) 13,608円

★「早稲田大学オープンカレッジ」会員について
・会員の有効期限は、入会年度を含めて4年度間(3月末日まで)
・入会金8,000円
・入会金6,000円の特例あり(早稲田大学卒業生、早稲田大学在学生父母、東京都新宿区・中央区・中野区に在住・在勤の場合ほか)
・会員にならずにビジターとしての受講も可能です
・詳細はコチラ

【申込受付】一般・ビジターともに、受付中。
【申込方法】Web、Tel、Fax、各校事務所窓口
・詳細はコチラ





—— 関連記事 ——


■ 春講座:早稲田大学オープンカレッジ「歌舞伎で読み解く着物ファッション 〜花魁、芸者から御殿女中、町娘に悪婆まで」のお知らせ
■ 「着物で読み解く名作日本文学 〜夏目漱石から、泉鏡花に永井荷風、有吉佐和子まで」のお知らせ
■ 早稲田大学オープンカレッジ 講座「人物像で読みとく着物ファッション」についての、レポートです。
■ 早稲田大学オープンカレッジ 講座「人物像で読みとく着物ファッション 〜花魁、芸者から町娘、モダンガールまで」のお知らせ

■ アサヒアートスクエアで「江戸OL着物トークショウ」を行いました。

■ 山形県「広重美術館」「清風荘」でトークイベントを行います。
■ 山形でトークイベントを行いました。その2 ~「ファッションとしてのモダンキモノ史」についてなど。




Copyright (C) 2017 井嶋ナギ All Rights Reserved.