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早稲田大学オープンカレッジ講座「人物像で読み解くキモノファッション文化史 Ⅱ」のお知らせ


お知らせです。春に引き続き、10月から、早稲田大学オープンカレッジにて講座をおこないます…!

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人物像で読み解く「キモノファッション文化史」Ⅱ
 〜 芸者、御殿女中から、江戸の色男、近代のモダンガールまで〜


【日程】10/01(土)、10/15(土)、10/22(土)、11/12(土)、11/19(土)
【時間】13:00~14:30(90分)
【場所】中野校キャンパス →MAP
   (JR中央線・総武線、メトロ東西線「中野駅」徒歩10分)

【講義概要】
着物が日常着だった江戸〜昭和初期にかけて、身分や職業、年齢などによって装いに差異・特徴があるのは当然のことでした。
そうした時代の装いの「ルール」や「歴史」について、具体的な「人物像」(芸者、御殿女中、カフェー女給など)を設定しながら、分かりやすく解説します。
また、歌舞伎、日本舞踊、浮世絵、映画、文学などの諸芸術文化における「装いの描かれ方」についても、資料を鑑賞しながら楽しく理解していきます。

【各回の講義予定】
10/01 芸者(1) : 江戸~近代にかけての、芸者の歴史と変遷
10/15 芸者(2) : 江戸~近代にかけての、芸者の歴史と変遷

10/22 御殿女中 : 武家のエリート女性としての、御殿女中

11/12 男性 : 男性の装い - 武士、町人、そして色男まで
11/19 モダンガール : 近代の装い - 女優、カフェー女給を中心に

春講座の続編ですが、今回からの受講でも問題ない内容です!



【受講費】
早稲田大学オープンカレッジ会員の方 11,826円
早稲田大学オープンカレッジ会員ではない方(ビジター) 13,608円

【早稲田大学オープンカレッジ会員について】
・会員の有効期限は、入会年度を含めて4年度間(3月末日まで)
・入会金8,000円
・入会金6,000円の特例あり(ビジターとして過去に受講された方、早稲田大学オープンカレッジ会員の紹介、早稲田大学卒業生、早稲田大学在学生父母、東京都新宿区・中央区・中野区に在住・在勤の方、ほか)
・会員にならずにビジターとしての受講も可能です
・詳細はコチラを御覧ください

【申込受付】一般・ビジターは、8/23より受付開始
【申込方法】Web、Tel、Fax、各校事務所窓口 にて受付中
・詳細はコチラを御覧ください




本講座はどのような内容なのか?


本講座は、今年の春におこなった「キモノファッション文化史 Ⅰ」の続編です。が、秋から参加されても特に問題のない内容になっておりますので、ぜひご参加ください!

…と書いている今、講座スタートまであと数日(泣)。ものすごく忙しかったのと、手の腱鞘炎のため、サイトの更新が滞ってしまっておりました…。twitterでお知らせしただけで、サイトでお知らせしておらず、申し訳ありません。

にも関わらず、現在、こちらの講座はほぼ定員に達しつつありまして(ありがとうございます!)、もし駆け込みでお申込みなさりたいという方がいらっしゃったら、まだ間に合いますので、早稲田大学エクステンションセンターの事務所まで(コチラ)お問い合わせくださいませ。



というわけで、春にいらっしゃった方はおわかりかと思いますが、この講座はどのような内容なのか? ということを、(前回記事とほぼ同じ記述になりますが)今回も記しておきたいと思います。

今年の講座は、2014年に開催した「人物像で読み解く着物ファッション」の拡大版です。(2014年の講座レポートはコチラの記事を御覧ください→「人物像で読みとく着物ファッション」についてのレポートです」)

早稲田大オープンカレッジでの講座は今年で3年目となりますが、これまで、人物像、日本文学、歌舞伎、などなど、さまざまな視点から着物ファッションを見て参りました。が、毎回時間が足りなくなってしまうのが、気になっておりまして…。そこで、今年は、春・秋と連続した講座にすることで、従来よりも詳しく、深く、着物ファッションを見ていきたいという趣旨ではじめました。

講座内容としては、当時の装いの「ルール」について細かく解説するだけでなく、その背景にある「歴史・変遷」について詳しく見ていきながら、さらに、歌舞伎・日本舞踊・浮世絵・映画・文学などの諸芸術文化における「装いの描かれ方・現われ方」といった文化史的な側面も、楽しみつつ見ていきたいと思います(つまり、基礎編+応用編です)。




なぜ「人物像」を設定するのか?


それから、なぜ「人物像」を設定するのか? についても書いておきたいと思います。

講座やトークイベントなどでもずっとしつこく(笑)言っているのですが、私は、キモノを知るためには、「誰がそれを着るのか?」について知ることがとても大切だと考えています。なぜなら、そもそもキモノの内容というのは、身分・職業・性別・年齢・境遇…といった、それを着る人の社会的立場によって、その内容が大きく変わってしまうからです。

もちろん、「いつ着るか?」(TPO=季節・場所・機会(Time・Place・Occasion))によっても、内容はかなり変わりますよね。それは今でも同じで、現在出回っているキモノのhowto本でも、TPOについてはかなり詳しく説明されています。だけど、江戸時代は、「いつ着るか?」を考えるよりも前に、そもそも「誰が着るのか?」がとにかく一番大事なことでした。

なぜなら、着るものは、個人の趣味選択にまかされている現代とは違って、当時は、社会的立場を示す記号のような役割を持っていたから。着るもの身にまとうものというのは、「階級」「立場」を示すための大事なツールだったわけですね。

そうしたことから、私は、キモノについて語る際には、「人物像=キャラクター」を具体的に設定して、その「基本の型」を解説する、という方法をとってきました。もちろん、「一概に言えない」ということもあると思います。どんなものにも「例外」はありますから。でも、「基本」の型を知らなければ、「例外」も分かりません。なので、講座では、あえて「江戸時代の典型的な人物像・キャラクター」を設定して、その基本形を解説する、というかたちで解説することにしています。



現代のキモノルールが、分かりづらい理由とは?


さらに、ちなみに…なのですが、現代のキモノのルール(特に「格」の問題など)が、私たちにとってどうも分かりづらい(というか、ピンとこない)大きな理由として、「現代のキモノ文化の中に、実は、『昔の身分制に基づいて成立していたキモノルール』が、こっそりと生き残っている」ということが挙げられるのではないか、と私は考えています。

つまり、近代に入って、さらには戦後になって、「身分制はなくなりました(タテマエ的には)」とされた時、「『身分制に基づいて秩序づけられていたキモノルール』を、これからどのように継承していけばいいのか?」という、引き継ぎ問題が発生したはずで。旧来のルールを「全く無かったこと」にしてしまうのは、キモノ文化そのものの破戒になりますから、それはできない、と(階級制度のなかで誕生し発展してたキモノ文化は、階級制度とどうしても「不可分」の関係にあるからです)。

それでは、どうしたらいいのか? となった場合に、持ち出されたのが、「」、です。つまり、

『身分』じゃマズいなら、『格』と呼べばいいじゃないか!

と。ザックリ言ってしまうと、ですが。

キモノのHowto本をひらくと、当然のごとくサラ〜ッと「格の高い文様の帯が〜」うんぬんかんぬん、と書かれているのをよく目にしますよね。私はキモノ初心者のとき、これが全くわかりませんでした。格ってなに? と。そう、これは、一般のファッション誌で見られるような「エレガントで品格のあるハンドバッグ」的なライターの主観的記述では無いのですよ。「格の高い文様」という言い回しには、「そもそもは身分の高い人が身につけるべき文様」という歴史的背景が、こっそりと隠されているのです! そんなこと、現代に生きている庶民の私がわかるわけがないですよねぇ(笑)。

そう、「格」を「身分」を読みかえると、着物ワールドがわりとスムーズに理解できる!!!

…と、誰ひとり書いてもいないし言ってもいませんが(笑)、わりと間違っていないのではないか、と自分では思っています。



というわけで、何が言いたいのかというと(笑)、過去の(身分制に基づいた)キモノルールが分かれば、現代のキモノを理解するのにも役に立つ! ということです。もちろん、さまざまな日本文化(歌舞伎、日本舞踊、浮世絵、美人画、江戸文学、日本文学、日本映画など)をより深く理解し、より繊細に味わえるようになります。これは、一生ものの楽しみですよ〜。

そんな、楽しい土曜のお昼タイムを、皆さんと過ごせたら嬉しいです…! ぜひぜひ、お気軽にご参加くださいませ♪




おまけ。

以下は、大好きな英山の浮世絵を使って、吉原の花魁道中について解説しているスライドです(昨年の講座で使用)。このような感じで、ヴィジュアル資料を使って、解説していきます!


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