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早稲田大学オープンカレッジ講座「人物像で読み解く江戸キモノファッション文化史 Ⅱ」のお知らせ 〜もしくは、キモノを「実践」と「鑑賞」という2つの側面から捉えることのススメ

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さわやかな日が続く秋こそ、「キモノの季節」ですね。

というわけで、秋のキモノを楽しむのにピッタリ!な講座のお知らせです。春に引き続き、今秋も、早稲田大学オープンカレッジにて講座をおこないます! 春講座の続編ですが、今回からのご参加でも大丈夫な内容になっております。ぜひ皆さま、キモノで(もちろんお洋服でも!)、お気軽にいらっしゃってくださいね。


f:id:nagi0_0:20170911172247j:plain 人物像で読み解く「江戸キモノファッション文化史」Ⅱ
  〜芸者、御殿女中から、江戸の色男、そして近代における変化まで〜


【日程】9/30(土), 10/07(土), 10/21(土), 10/28(土), 11/11(土)
【時間】13:00~14:30(90分)
【場所】中野校キャンパス →MAP
    (JR中央線、JR総武線、メトロ東西線 「中野駅」徒歩10分)

【講義概要】
着物が日常着だった江戸時代、身分や職業、年齢などによって装いに差異・特徴があるのは当然のことでした。
そうした時代の装いの「ルール」や「歴史」について、具体的な「人物像」(花魁、町娘、女房など)を設定し、その人物のライフスタイルを見ていきながら、分かりやすく解説します。
また、浮世絵、歌舞伎、日本舞踊、映画、文学などの諸芸術における「装いの描かれ方」についても、資料を鑑賞しつつ、楽しく理解していく予定です。

【各回の講義予定】
09/30 芸者(1) : 江戸芸者の誕生と歴史、その装いの変遷
10/07 芸者(2) : 『春色梅児誉美』における辰巳芸者の装い ほか
10/21 御殿女中(1) : 武家のエリート女性としての、大奥の女たち
10/28 男性 : 男性の装い : 大名、武士、町人、そして色男
11/11 近代  : 近代における江戸の装いの、その継承と変化 ほか

本講座は春講座の続編ではありますが、今回からの受講でも問題のない内容です。


【受講費】
早稲田大学オープンカレッジ会員の方 14,580円
早稲田大学オープンカレッジ会員ではない方(ビジター) 16,767円

【早稲田大学オープンカレッジ会員について】
・会員の有効期限は、入会年度を含めて4年度間(3月末日まで)
・入会金8,000円(税込)
・入会金6,000円の特例あり(ビジターとして過去に受講された方、早稲田大学オープンカレッジ会員の紹介、早稲田大学卒業生、早稲田大学在学生父母、東京都新宿区・中央区・中野区に在住・在勤の方、ほか)
・会員については、コチラコチラを御覧ください
・会員にならずに、ビジターとしての受講も可能です
・ビジターについては、コチラコチラを御覧ください

【お申込み】Web、Tel、Fax、各校事務所窓口 にて、9/7より受付中!
・お申込み方法については、コチラを御覧ください

★詳細は、コチラ



本講座はどのような内容なのか?


早稲田大学エクステンションセンターでの講座も、今年で4年目になりました。この講座がどのような内容なのかについては、以前の記事「2017年も開催します! 早稲田大学オープンカレッジ講座「人物像で読み解く江戸キモノファッション文化史 Ⅰ」のお知らせ」に書いたことと重複すると思いますが、繰り返し書いておきたいと思います。

長年、講座やトークイベントなどで話していることですが、私は、キモノが日常着だった時代のキモノを知るには、まず「人物像」を設定して理解することが大事だと思っています。というのも、当時は、社会的身分、性別、年齢、職業などによって、「装い」に大きな差があることが当然だった時代だから、です。…今では、身分、性別、年齢、職業で人を選別するなんてもってのほか、ですけれども(笑)。

そんなわけで、私は、当時の代表的な「人物像(キャラクター)」を設定して、そのキャラクターの典型的な「装いのルール」を解説する、という方法をとっております。

また、その「人物像」が、社会的にどのような位置にあり、どのような仕事をし、どのような生活をしていたか? という「歴史」と「ライフスタイル」も理解することで、より彼らの「装い」が実感できると考えています。ですので、キモノ以外の説明(その職業の歴史的推移や内実など)も、詳しくお話するようにしています。

そして、さらには、ここが実は一番大事だと私は思っているのですが、そうした「人物像」や「装い」が、諸芸術文化(浮世絵、歌舞伎、文学、映画など)においてどのように描かれてきたか? ということをしっかり見ていきたいのです。キモノは何も「自分が着る」だけではなく、「歴史」であり「文化」でもあり、「装い」を手がかりにさまざまな芸術文化を読み解けるようになるというのが、私が個人的な理想でもあるので…。というわけで、さまざまなヴィジュアルや資料を使って、その「描かれ方・現われ方」といった文化史的な側面についても、楽しく味わえるようにしたいと思っています。

実際の教室のようすはどんな感じなのかな? という方は、2014年の講座のレポート記事を、ぜひご覧くださいませ。
www.nagi-ijima.com


キモノを「実践」と「鑑賞」という2つの側面から捉えることのススメ


ところで、先ほど、以下のように書きました。

キモノは何も「自分が着る」だけではなく、「歴史」であり「文化」でもあり、「装い」を手がかりにさまざまな芸術文化を読み解けるようになるというのが、私が個人的な理想


と。結局のところ、「実践(自分がキモノを着る)」と、「鑑賞(キモノを見て味わって読み解く)」も、どちらも高度に可能になることが理想だと、私は思うのです。

そうなのです。キモノ、というと、すぐに「実践」面ばかり言われることに、私は少々不満を感じています(笑)。「実践」も「鑑賞」もどちらも、とても大事なことだと思うからです。

キモノの「実践」については、今はとても恵まれた状況にあります。ネットでのサイトや、本や雑誌だけでも膨大な数になりますし、着付けの教室や着付けの先生も、カジュアルなキモノ屋さんもたくさんある。キモノの実践については、ここ10年くらいで、大変に充実した状況になりました。私が学生の頃は、ホントに何の情報もありませんでしたから(なにせネットがなかったので)。

だけど、その一方で、キモノの「鑑賞」については、まだまだあまり情報がない、と感じます。

まず、「鑑賞」するための必須ツールである「キモノなどの装いについて、体系的に(人物像別、かつ、通時的に)、わかりやすく解説されたもの」が、あまり無いように思うのです(もちろん、いろいろな本があるので、私が知らないだけかもしれません)。その知識というのは、「人物像別(身分、職業、性別、年齢、別)」と「歴史的推移」という2つの視点からの整理が必要だと、私は考えます。

で、さらに言えば、「そのキモノの知識(人物像別、かつ通時的な)を使って、実際にどのように文化芸術を見て、味わい、鑑賞するのか?」ということになると、そういうものはほとんど無いのではないでしょうか。

以前、早稲田大学エクステンションカレッジでおこなった講座、「着物で読み解く名作日本文学 〜夏目漱石から、泉鏡花に永井荷風、有吉佐和子まで」「江戸のラブストーリー『人情本』に見る江戸娘の着物ファッション  〜『春色梅児誉美』を読んでみませんか? 」「「歌舞伎で読み解く着物ファッション」「名作映画に描かれた日本の美と享楽の世界」や、今年の夏に自由学園明日館でおこなった「名作映画に学ぶ日本文化とキモノファッション」、それから、以前にWAGUさんのサイトで連載していたコラム「美女とキモノ 〜日本映画におけるキモノ美女の研究」などは、すべて、その「キモノの知識(人物像別、かつ通時的な)を使って、実際にどのように文化芸術を見て、味わい、鑑賞するのか?」についての(鑑賞についての)実践でもありました。

そもそも、私が、キモノに俄然興味を持ち始めたキッカケが、高校生のときに目にした、映画『鬼龍院花子の生涯』でのアンティークなキモノの着こなしや、泉鏡花の小説における呪文のようにキラキラしたキモノの描写、だったわけで。その時に私は、「着たい!(実践)」と思ったのと同時に、「読み解きたい!(理解鑑賞)」と思ったんです。結局、私は25年以上同じことをやっているのだな、と今思いました(笑)。


ちなみにですが、今回のような1年間かけて詳しく解説する通年講座は、今回で一旦お休みすることにしました(今後、開催しないかもしれません)。もしこうした講座にご興味がおありの方は、ぜひ今回、ご参加いただけましたら嬉しいです!

秋講座も、「着物が日常だった時代を、肌で感じとれる」ような内容にしたいと思っておりますので、土曜の昼下がり、江戸への小旅行気分でぜひお気軽に♪ 皆さまにお会いできるのを楽しみにしております。



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    〜夏目漱石から、泉鏡花に永井荷風、有吉佐和子まで」


2015年
「歌舞伎で読み解く着物ファッション
    〜花魁、芸者から御殿女中、町娘に悪婆まで」

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「人物像で読み解くキモノファッション文化史 Ⅰ
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「人物像で読み解くキモノファッション文化史 Ⅱ
   〜芸者、御殿女中から、江戸の色男、近代のモダンガールまで」


2017年
「人物像で読み解く江戸キモノファッション文化史 Ⅰ
   〜花魁、太夫から、町娘、お姫様に悪婆まで〜」





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