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早稲田大学オープンカレッジ講座「人物像で読み解くキモノファッション文化史 Ⅰ」のお知らせ


お知らせです。去年に引き続き、今年も4月から、早稲田大学オープンカレッジにて講座をおこないます…!

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人物像で読み解く「キモノファッション文化史」Ⅰ
  〜花魁、太夫から、町娘、お姫様に悪婆まで〜


【日程】4/16(土)、4/23(土)、5/07(土)、5/21(土)、6/04(土)
【時間】13:00~14:30(90分)
【場所】中野校キャンパス →MAP
    (JR中央線、JR総武線、メトロ東西線 「中野駅」徒歩10分)

【講義概要】
着物が日常着だった江戸〜昭和初期にかけて、身分や職業、年齢などによって装いに差異・特徴があるのは当然のことでした。
そうした時代の「装いのルール」や「歴史」について、具体的な「人物像」(花魁、太夫、女房、町娘、姫君など)を設定しながら、分かりやすく解説します。
また、歌舞伎、日本舞踊、浮世絵、映画、文学などの諸芸術文化における「装いの描かれ方」についても、資料を鑑賞しつつ理解を深めていく予定です。

【各回の講義予定】
4/16 花魁・太夫(1) : 吉原と島原を中心に、遊郭の遊女たち
4/23 花魁・太夫(2)
5/07 町娘・姫君(1) : 江戸で人気の町娘、そして武家のお姫様
5/21 町娘・姫君(2)
6/04 女房・悪婆  : 江戸と上方の女房、悪婆というアバズレ女

本講座の続編『人物像で読み解く「キモノファッション文化史」Ⅱ』は、今年秋10・11月に行う予定です。


【受講費】
早稲田大学オープンカレッジ会員の方 11,826円
早稲田大学オープンカレッジ会員ではない方(ビジター) 13,608円

【早稲田大学オープンカレッジ会員について】
・会員の有効期限は、入会年度を含めて4年度間(3月末日まで)
・入会金8,000円
・入会金6,000円の特例あり(ビジターとして過去に受講された方、早稲田大学オープンカレッジ会員の紹介、早稲田大学卒業生、早稲田大学在学生父母、東京都新宿区・中央区・中野区に在住・在勤の方、ほか)
・会員にならずにビジターとしての受講も可能です
・詳細はコチラを御覧ください

【申込受付】一般・ビジターは、3/10より受付開始
【申込方法】Web、Tel、Fax、各校事務所窓口 にて受付中
・詳細はコチラを御覧ください



本講座はどのような内容なのか?


というわけで、今年の講座は、おととし2014年に開催した「人物像で読み解く着物ファッション」の拡大版です!(2014年の講座レポートはコチラの記事を御覧ください→「人物像で読みとく着物ファッション」についてのレポートです」)

2014年から2年間、人物像、日本文学、歌舞伎、などなど、さまざまな視点から着物ファッションを見てきましたが、毎回時間が足りなくなってしまうのが、気になっておりました…。そこで、今年は、春・秋と連続した講座にすることで、従来よりも詳しく、深く、着物ファッションを見ていきたいと思っております!(本講座の続編にあたる『人物像で読み解く「キモノファッション文化史」Ⅱ』は、今年の秋10・11月に行う予定です!)

講座内容としては、当時の装いの「ルール」について細かく解説するだけでなく、その背景にある「歴史・変遷」についてもひも解きながら、さらに、歌舞伎・日本舞踊・浮世絵・映画・文学などの諸芸術文化における「装いの描かれ方・現われ方」といった文化史的な側面もしっかり見ていきます(つまり、基礎編+応用編です)。

とにかく、今まで時間の関係でご紹介できなかった資料や映像がたくさんあるので、できるだけ具体的な資料を鑑賞しながら、より楽しく、より多角的に、着物が日常だった時代を “肌で感じ取りながら” 理解できる内容にしたいと思っております。

初めて受講される方はもちろん、過去に受講くださった方にも楽しんでいただけるよう、新たな資料をお持ちして、よりディープにマニアックに(笑)お話する予定です!



なぜ「人物像」を設定するのか?


それから、なぜ「人物像」を設定するのか? についても書いておきたいと思います。

講座やトークイベントなどでもずっとしつこく(笑)言っているのですが、、私は、キモノを知るためには、「着る人」について知ることがとても大切だと考えています。なぜなら、キモノは身分社会のなかで発展してきた服飾文化であるため、身分・職業・性別・年齢・境遇…といった条件によって、その内容が大きく変わってしまうから。さらに言えば、季節・場所・機会(Time・Place・Occasion)によっても内容が変わりますが、これは今でも同じですね。「いつ着るのか?」ももちろん大事ですが、その前に、「誰が着るのか?」が、当時は最も大事だったわけです。

そうしたことから、キモノについて語る際には、「人物像=キャラクター」を具体的に設定して、その「基本の型」を解説する、という方法をとってきました。もちろん、「一概に言えない」ということもあると思います。どんなものにも「例外」はありますから。でも、「基本」の型を知らなければ、「例外」も分からないものなのですよね…。なので、講座では、あえて「江戸時代の典型的な人物像・キャラクター」を設定して、その基本形を解説する、というかたちで解説することにしています。



現代のキモノルールが、分かりづらい理由とは?


さらに、ちなみに…なのですが、現代のキモノのルール(特に「格」の問題など)が、私たちにとってどうも分かりづらい(ピンとこない)大きな理由として、「現代のキモノ文化の中に、実は、『昔の身分制に基づいて成立していたキモノルール』が、こっそりと生き残っている」ということが挙げられるのではないか、と私は考えています。

つまり、身分制はなくなりました!(タテマエ的には)とされた時、「『身分制に基づいて秩序づけられていたキモノルール』を、これからどのように継承していけばいいのだろうか?」という、引き継ぎ問題が発生したはず。旧来のキモノルールを「全く無かったこと」にしてしまうのは、キモノ文化そのものの破戒になりますから、それはできない、と。その結果、どのような方策がとられたのかというと、「」、です。つまり、「『身分』じゃマズいなら、『格』と呼べばいいじゃないか!」「『身分制度』じゃマズいから、『格制度』を導入しよう!」という経緯があったのではないか、と。ザックリ言ってしまうと、ですが。

キモノのHowto本をひらくと、当然のごとくサラ〜ッと「格の高い文様の帯」うんぬんかんぬん、と書かれているのをよく目にしますよね? 私はキモノ初心者のとき、これが全くわかりませんでした。そう、これは、一般のファッション誌のように「この帯の模様って、品があってエレガントですよね〜」的なライターの主観的記述では無いのですよ。これはつまり、「格の高い・模様のついた・帯」ということであって、それはイコール、「そもそもは身分の高い人のための・模様のついた・帯」ということを、実は意味しているのです!

そう、「格」を「身分」を読みかえると、着物ワールドがスムーズに理解できるようになる!!!

…と、誰ひとり書いてもいないし言ってもいませんが(笑)、わりと間違っていないのではないか、と自分では思っています。



というわけで、何が言いたいのか? というと(笑)、過去のキモノルールが分かれば、現代のキモノを理解するのにも非常に役に立つ! ということです。もちろん、さまざまな日本文化(歌舞伎、日本舞踊、浮世絵、美人画、江戸文学、日本文学、日本映画など)をより深く理解し、より繊細に味わえるようになります。これは、一生ものの楽しみですよ〜。

そんな、楽しい土曜のお昼タイムを、皆さんと過ごせたら嬉しいです…! ぜひぜひ、お気軽にご参加くださいませ♪




おまけ。

以下は、大好きな英山の浮世絵を使って、吉原の花魁道中について解説しているスライドです(昨年の講座で使用)。このような感じで、ヴィジュアル資料を使って、解説していきます!


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