井嶋ナギの日本文化ノート

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踊りを「体感する」ということ。 〜『京鹿子娘五人道成寺』『二人椀久』in 歌舞伎座

歌舞伎 日本舞踊 江戸


今月12月の歌舞伎座初日に行ってきました! で…これは…ちょっと…素晴らしすぎて…興奮のあまり、久しぶりにブログを書きます。


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『娘道成寺』と『二人椀久』を、
人間国宝・玉三郎丈が踊る!


今月12月の歌舞伎座は、「第一部」「第二部」「第三部」の3部制。そのなかの「第三部」初日を見てきたのですが、演目がとにかく好みど真ん中すぎて…! 第三部の演目は、以下。

■ 長唄舞踊『二人椀久』
  出演:玉三郎、勘九郎
■ 長唄舞踊『京鹿子娘五人道成寺』
  出演:玉三郎、勘九郎、七之助、梅枝、児太郎


両演目とも、お芝居ではなく、踊りです。踊り好きなら「キャー!」と言わずにおれない、そんな凄いラインナップなんですよ。このラインナップがどう凄いのか、カンタンに列挙しますと。(以下、長いので『娘道成寺』と省略して書きます)

・『二人椀久』も『娘道成寺』も、日本舞踊の超代表作!
・『二人椀久』も『娘道成寺』も、楽曲(長唄)が素晴らしい!
・『二人椀久』も『娘道成寺』も、人間国宝・坂東玉三郎丈が踊る!
・『娘道成寺』は、通常は1人で踊るが、今回は総勢5人で踊る!

これがどんな感じなのかと言うと、えーと、少女漫画と大映映画でたとえれば、『ベルサイユのばら』と『日出処の天子』の2演目を、若尾文子と岸田今日子と田宮二郎で上演! みたいな感じ(笑)。



歌舞伎になじみのない方にこそ、
「踊り」をオススメしたい理由


特に、この『二人椀久』と『娘道成寺』は、「歌舞伎を初めて見る人」や「踊り(日本舞踊)になじみのない人」にこそ、オススメしたい! と、強く主張したいです。

というのも、世間では、「歌舞伎」というと、『忠臣蔵』のような勧善懲悪なお芝居のイメージや、『暫(しばらく)』のような隈取した荒事のイメージが、あるようなのですが。……いやいや、歌舞伎って、夢のように華やかで美しいレヴューのような演目もあるし、肉体を鍛え上げたダンサーによるスリリングなダンスが見られる演目もあるんですよ!

実は、歌舞伎において、「踊り(日本舞踊)」は、「お芝居」と並んで、重要不可欠なものなんです。あまり言われていないような気がするのですが、実は、

 歌舞伎 = お芝居 + 踊り



「踊り」は、決して「お芝居」の添えものではなく、どちらが欠けてもダメなのです。

お芝居が(ある程度は)頭で理解するものだとしたら、踊りは五感を駆使して体感するもの。見る、というより、体感する、なんです。だって、踊りの演目を構成する要素は、つまり、MUSIC & DANCE ですから。とにかく、「キャ〜ウットリ〜」「うわ〜気持ちいい〜」「何だか、この音に乗って踊りたくなる〜」みたいな感じで、ただただトランス状態に浸ればいい。

そう考えると、踊りこそ、歌舞伎初心者にうってつけなのではないでしょうか? よく、「歌舞伎って難しいんでしょ?」「前もって勉強しなきゃわからないんでしょ?」と聞かれるのですが、確かに、そういう演目もありますよね。お芝居などでは、ある程度の知識(歴史的背景など)があったほうが、より理解しやすいものもある。でも、踊りに関しては、理屈じゃない。ただ音楽とダンスを体感すればいいのですから、難しいことなんてない、と思うのです。



250年以上かけて
練り上げられてきた踊りの舞台


『二人椀久』も『娘道成寺』も、非常にポピュラーな演目なので何度も見ていますが、今回しみじみと感じたことがありました。それは、目の前で繰り広げられている舞台が、何百年もかけて受け継がれ、何百人という(過去の)人間の手によって練り上げられてきた、その「長い歴史の積み重ねの結果」だということ。

たとえば、これらの演目の初演はというと、

1753年(宝暦03)『京鹿子娘道成寺』
1774年(安永03)『二人椀久』
 
つまり、『娘道成寺』は263年前、『二人椀久』は242年前! もちろん、曲も振り付けも演出も、初演当時100%そのままというわけではありません。特に、振り付けや演出は、役者や時代によっても変化します。だけど、曲に関しては、初演時につくられた曲が改訂改良されながらも、現在まで受け継がれている。つまり、250年前の江戸の人々が熱狂した音楽を、今も体感できるわけです。純粋に、ワクワクしますよね!

1750年〜1775年あたりと言えば、江戸時代中期。ザックリですが、田沼意次が活躍した、10代将軍徳川家治の時代。文化人で言えば、1750〜60年あたりに平賀源内鈴木春信が活躍し、1774年には杉田玄白・前野良沢らの医学書『ターヘル・アナトミア』出版、というあたり。(ちなみに、早稲田の講座に来てくださった方は、キモノ・髪型の形で時代をなんとなくイメージできるかと思います♪)

ちなみに、同時代の西洋の状況はと言うと、1750年にJ・S・バッハが65歳で死去、1755年にマリー・アントワネットが誕生、1756年にモーツァルトが誕生、1775年にアメリカ独立戦争。…うんうん、まさに、ロココ時代ど真ん中ですね!

たとえば、『京鹿子娘道成寺』だったら、山台にズラリと並んだ長唄連中・囃子連中の生演奏、何度聴いても聞き飽きることのない名曲、さまざまな踊りの技巧を織り込んだ振り付け。華やかでゴージャスなキモノにダラリの島田髷、何度も「引き抜き」で衣装が変わり、小道具も、中啓手ぬぐい鞨鼓鈴太鼓と変わってゆく…。

そうした光景すべてが、ここ最近のアイディアで生まれたというようなものではなく、約250年もかけて、数え切れないほどの人たちによって、磨き上げられ、練り上げられ、ブラッシュアップされてきた結果。それが、目の前の舞台で繰り広げられているということ、それを、自分が目の当たりにできているということが、奇跡のような、有り難いことに思えてなりませんでした。

舞台って、「その場」「その時」でないと体感することができない、はかない藝術だなと思います。もちろん、今は、映像という手段があります。ありますけど、でも、実際にその空間にいるのと、映像を見るのとでは、全く違う。好きなミュージシャンのライヴ映像を見るのと、実際にライヴに行くのとでは、1000万倍くらい違いますよね? それと同じなんですよね。



『京鹿子娘五人道成寺』は、
華麗な和製レヴュー!


特に、今回の『京鹿子娘五人道成寺』は、必見!

通常の『京鹿子娘道成寺』は、1人で踊るのが標準。最近では、玉三郎丈と菊之助丈による2人で踊る『京鹿子娘二人道成寺』がありますが、5人で踊る『京鹿子娘五人道成寺』なんて、今度いつ上演されるかわかりません! 5人で踊る『娘道成寺』は、旧・歌舞伎座の閉会式で1度だけ上演されましたが(私は未見ですが)、それ以外では、今回が初めてのはず。これを見逃すのは、あまりに惜しい! 

当代きっての役者たちが、入れ替わり立ち替わり現われて、踊ってくれる、この趣向、最高に楽しかったです! ただひたすら、華麗で、贅沢で、ゴージャスで、ドラマティックで、楽しい。そんな華麗な和製レヴューを体感しないのは、本当にもったいないと思うのです。


以降、ちょっと細かい話になりますが、今回の『娘道成寺』で、5人の役者たちがどのパートを担当していたのか? についてもメモしておきますね。

道行:七之助、勘九郎
問答:七之助
乱拍子・中啓の舞:玉三郎
手踊り(言わず語らぬ〜):玉三郎
毬唄(恋の分里〜):玉三郎、七之助、勘九郎、梅枝、児太郎
花笠踊り:児太郎
クドキ(恋の手習い〜):玉三郎
鞨鼓の踊り:七之助、勘九郎
手踊り(ただ頼め〜):梅枝
鈴太鼓の踊り:玉三郎、七之助、勘九郎、梅枝、児太郎
鐘入り:玉三郎、七之助、勘九郎、梅枝、児太郎


(もし間違えがありましたらすみません。今月は3回は見に行く予定なので(張り切りすぎ笑)、随時確認しておきます。)

特に、中村屋兄弟(勘九郎・七之助)がどちらも女形として2人で踊る、というのは、かなり貴重なのでは? 上記にも書きましたが、「道行」と「鞨鼓の踊り」は、中村屋2人だけで踊り、拍手喝采でした。

「道行」では、(長唄ではなく)義太夫の、「恋をする身は浜辺の千鳥〜」という歌詞のところで、お化粧をする振りがあるのですが。衿もとから懐紙を出して、口に当て、紅のついたその懐紙をクシャッと丸めて、ポイッと観客席に投げるんですよ〜! おお〜〜っとどよめき発生(花道の西側のほうに飛ばしてました。いいなぁ〜)。玉様と菊之助の『娘二人道成寺』では、それはやっていなかったと思いますが、江戸時代にはそうした観客サービスをしていたそうなので、復活させたのかもしれません。

「鞨鼓(かっこ)の踊り」では、勘九郎と七之助の踊りのクセの違いがわかるのも、すごく面白かったです。勘九郎は普段は立役だから、女形の踊りでも、腕の動かし方とかすごく動きが大きいなぁとか。七之助は何から何まで可憐で可愛くて、「ふつうに町娘」みたいだなぁ、とか。

それから、『娘道成寺』で一番の見せどころなのが、「クドキ」の部分。甕のぞき色の絹の手ぬぐいを手に、玉様が、しっとりと踊ります。いや…、踊るというか、もう、「存在している」という感じ。場内、水を張ったようにシーーーンとして。皆が息をとめたように、静かに、玉様の動きを見つめる、そんな「玉様劇場」。そんななか流れる長唄の歌詞は、「悋気(りんき=嫉妬)」だとか、「殿御(とのご)」が「悪性(あくしょう)」だとか、「恨み〜〜恨〜みて〜〜」だとか、かなりドロドロ(笑)。でも、玉様が踊ると、なにか「神聖・玉様劇場」に見えてくる不思議。



kabukiza2016



というわけで長々と書きましたが、「でも、もうチケットとれないんでしょ?」と、思った方もいらっしゃるかもしれません。さっき確認してみたら、普通のチケットは(第三部に関しては)、二等席(11000円)より上の席しか残っていませんでした。

でも、当日ふらっと行って格安で見ることもできるんですよ!(立ち見の可能性もあり) それが、「一幕見席」。今月の一幕見席についての案内は、コチラ。歌舞伎座のサイトに「一幕見席について」という説明もあります。これについて解説するとさらに長くなってしまうので、改めて書きたいと思います〜! 

追記。一幕見席について書きました!
→「歌舞伎座「一幕見席」のススメ。もしくは、4階当日券の購入方法について。






—— 関連記事 ——


■ 日本舞踊や能狂言における「足踏み」「リズム」の気持ちよさについて書いた記事
【日本を知るための100冊】003:折口信夫『日本藝能史六講』 ~鎮魂と快楽の足拍子について。

■ 2006年 玉三郎×菊之助『二人椀久』を見たときの記事
【歌舞伎・日舞】 『二人椀久』@歌舞伎座

■ 2014年 玉三郎×七之助『村松風二人汐汲』『二人藤娘』を見たときの記事
玉様&七之助の『二人汐汲』 〜もしくは、あまちゃんと汐汲み女の謎について。

「KIMONO姫」No.14に、泉鏡花についてのエッセイを寄稿しております。

News キモノ 泉鏡花


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お知らせです!

キモノ雑誌『KIMONO姫』最新号(No.14)にて、エッセイ「日本の美しい、魔法の呪文」を寄稿させていただいております!
 

KIMONO姫』最新号のテーマは、メイドインジャパン編! ということで、「日本の美についてなにか!」と編集長様におっしゃっていただき、思いついたのが、泉鏡花の美しい文章でした。鏡花の文章はどれも本当に、宝石をちりばめたように美しいのですが、なかでも美しくてすこし怖い、そして、キモノやファッション描写もたっぷりある『眉かくしの霊』を例にとりあげてみました。

日本に生まれて、日本で育って、日本語で生きてきて、よかった

と思わずにいられない、そんな体験についてのお話です。ぜひ、ご覧いただけたら嬉しいです!




それにしても、『KIMONO姫』今号も、可愛いキモノコーディネートがてんこ盛りです♪

個人的には、巻頭グラビアでモデルちゃんが着ていた「MODERN ANNTENA のジャージ風ツーラインの無地キモノに、ゴールドのリーボックの厚底スニーカー」というスポーティなコーディネートが、かなり好み! あれ、カワイイな〜。

実は私、ジャージというものが、素材も、形も、大好きです。体操着みたいなスタイル、たまりません。ブルゾンとかスカジャンみたいな形のアウターも好きすぎて、同じ形のものばっかりいくつ買ってんだよ、っていう…(あの、たまに、普段着で会うと「えっ…なんか…イメージ違う」とか言われてしまうことがあるのですが、キモノのほうが私にとっては「特別」でして…)。

あと、桜井日奈子ちゃんが「キモノ×エプロン×たすき掛けで、お掃除コス」をしているページがあるのですが。あまりに可愛くて、しばし、ジーーーッと眺めてしまいましたね…。一体、何が違うんだろう?と思って(笑)。美少女って、すごいな…。






それと、泉鏡花関連・出版関連にかこつけて、もうひとつお知らせを。

2013年に、泉鏡花の『雪柳』という作品についてのエッセイを寄稿させていただいた、『冬の本 』(夏葉社)という本が、先日、増刷されたとのことです! この本、84人によるオススメの「冬の本」についてのエッセイを集めた、とても贅沢でカワイイ本なんです。


しかも、書き手のラインナップを見てビックリですよ、山田太一、角田光代、又吉直樹、片岡義男、池内紀、木内昇、と、ビックネームがズラリ(敬称略)。なぜ私がそこに入っているのか、、はい、自分で思ってます…。

とにかく、ちょうど今の季節にピッタリです! ぜひ、ご覧くださいませ。





—— 関連記事 ——


■「『冬の本』(夏葉社)が出版されました。もしくは、衝撃的な読書体験について。

■ 2014年におこなった、"日本文学に描かれたキモノ"を探る講座について
早稲田大学オープンカレッジ「着物で読み解く名作日本文学 〜夏目漱石から、泉鏡花に永井荷風、有吉佐和子まで」のお知らせ

■ 「中目黒KAPUKI制作「かぷき本」のお知らせです。

■ 「「キネマ旬報」にて、若尾文子作品のキモノについて書いております。

■ 「キネマ旬報社刊『女優 夏目雅子』に寄稿しております。もしくは、『鬼龍院花子の生涯』を見よ!!!!

「下北沢映画祭」キモノ×映画 トークイベントのお知らせ

News イベント キモノ 映画




第8回 下北沢映画祭にて、トークゲストとして参加することになりました。ぜひぜひ、いらっしゃってくださいませ♪ 




第8回 下北沢映画祭
映画が繋ぐ、着物との縁。

日時:10/9(日)13:30〜(開場13:15)
場所:しもきた空間リバティ
   世田谷区北沢2-11-3 イサミヤビル4F →MAP
   (1Fは「ABCマート」です)
チケット:2000円 →購入はコチラ
   (キモノでご来場の方は、300円キャッシュバック!)

下北沢映画祭


上映作品:『化粧師』(2002年)
監督/田中光敏 原作/石ノ森章太郎
出演/椎名桔平、菅野美穂、柴咲コウ、池脇千鶴、いしだあゆみ

トーク:前田エマさん(モデル/アーティスト)× 井嶋ナギ(文筆家)

協賛:下北沢のアンティーク着物店「着縁
詳細:下北沢映画祭HP




というわけで、皆さま、「キモノ×映画」のイベントですよ〜〜! 今までさんざん、キモノと映画の関係について、講座で喋ったりブログで書いてきた私としましては、こうしたイベントに参加できるのは嬉しいです。実行委員の方も、コダカナナホさんとの企画「美女とキモノ」をご覧くださってお話をくださったそうで、光栄の限り。
 
当日は、映画『化粧師(けわいし)』(2002年)が上映されます。この映画、大正時代を舞台にした作品で、さまざまな階層の女性たちがキモノで登場するので、それこそ私が講座でやっているような「人物像別のキモノ」を学ぶのにもピッタリ! 私は、この作品に登場する、いしだあゆみの大人ロマンティックなキモノ姿に、憧れますねぇ…。ちょっと竹久夢二な雰囲気の、いしだあゆみの艶姿が見られますよ。
 
そして、主役の椎名桔平が、若い! あの頃の椎名桔平、カッコよかったですねー。私が初めて椎名桔平を発見(笑)したのは、新卒で入ったばかりの会社員時代、仕事がイヤでイヤで会社わざわざ休んで東京映画祭に行って、偶然見た『新宿黒社会』でしたね……。いや、あの作品は衝撃的だったなぁ……三池崇史監督の劇場映画デビュー作だったと後で知りましたが。って、関係ない話ですが。

そして、映画上映後は、モデル・アーティストの前田エマさんとわたくし井嶋ナギで、トークを行う予定です! どのようなイベントになるのか、私もとても今からとても楽しみです。しかも、キモノで来場されると300円キャッシュバックという嬉しい特典もあるとのことですよ!

さらにさらに。ちょうどその時期は、下北沢カレーフェスティバル2016が開催中なんだそう! カレー好きにはたまりません。夜ごはんは、ぜひ下北沢で美味しいカレーを食べて帰りましょう♪ 





■ 下北沢映画祭のブログ「第八回下北沢映画祭チケット発売中!」 ■ 映画ナタリー「下北沢映画祭で「恋人たち」「花とアリス殺人事件」など上映、橋口亮輔のトークも

早稲田大学オープンカレッジ講座「人物像で読み解くキモノファッション文化史 Ⅱ」のお知らせ

News キモノ 江戸


お知らせです。春に引き続き、10月から、早稲田大学オープンカレッジにて講座をおこないます…!

井嶋ナギ2016秋講座



人物像で読み解く「キモノファッション文化史」Ⅱ
 〜 芸者、御殿女中から、江戸の色男、近代のモダンガールまで〜


【日程】10/01(土)、10/15(土)、10/22(土)、11/12(土)、11/19(土)
【時間】13:00~14:30(90分)
【場所】中野校キャンパス →MAP
   (JR中央線・総武線、メトロ東西線「中野駅」徒歩10分)

【講義概要】
着物が日常着だった江戸〜昭和初期にかけて、身分や職業、年齢などによって装いに差異・特徴があるのは当然のことでした。
そうした時代の装いの「ルール」や「歴史」について、具体的な「人物像」(芸者、御殿女中、カフェー女給など)を設定しながら、分かりやすく解説します。
また、歌舞伎、日本舞踊、浮世絵、映画、文学などの諸芸術文化における「装いの描かれ方」についても、資料を鑑賞しながら楽しく理解していきます。

【各回の講義予定】
10/01 芸者(1) : 江戸~近代にかけての、芸者の歴史と変遷
10/15 芸者(2) : 江戸~近代にかけての、芸者の歴史と変遷

10/22 御殿女中 : 武家のエリート女性としての、御殿女中

11/12 男性 : 男性の装い - 武士、町人、そして色男まで
11/19 モダンガール : 近代の装い - 女優、カフェー女給を中心に

春講座の続編ですが、今回からの受講でも問題ない内容です!



【受講費】
早稲田大学オープンカレッジ会員の方 11,826円
早稲田大学オープンカレッジ会員ではない方(ビジター) 13,608円

【早稲田大学オープンカレッジ会員について】
・会員の有効期限は、入会年度を含めて4年度間(3月末日まで)
・入会金8,000円
・入会金6,000円の特例あり(ビジターとして過去に受講された方、早稲田大学オープンカレッジ会員の紹介、早稲田大学卒業生、早稲田大学在学生父母、東京都新宿区・中央区・中野区に在住・在勤の方、ほか)
・会員にならずにビジターとしての受講も可能です
・詳細はコチラを御覧ください

【申込受付】一般・ビジターは、8/23より受付開始
【申込方法】Web、Tel、Fax、各校事務所窓口 にて受付中
・詳細はコチラを御覧ください




本講座はどのような内容なのか?


本講座は、今年の春におこなった「キモノファッション文化史 Ⅰ」の続編です。が、秋から参加されても特に問題のない内容になっておりますので、ぜひご参加ください!

…と書いている今、講座スタートまであと数日(泣)。ものすごく忙しかったのと、手の腱鞘炎のため、サイトの更新が滞ってしまっておりました…。twitterでお知らせしただけで、サイトでお知らせしておらず、申し訳ありません。

にも関わらず、現在、こちらの講座はほぼ定員に達しつつありまして(ありがとうございます!)、もし駆け込みでお申込みなさりたいという方がいらっしゃったら、まだ間に合いますので、早稲田大学エクステンションセンターの事務所まで(コチラ)お問い合わせくださいませ。



というわけで、春にいらっしゃった方はおわかりかと思いますが、この講座はどのような内容なのか? ということを、(前回記事とほぼ同じ記述になりますが)今回も記しておきたいと思います。

今年の講座は、2014年に開催した「人物像で読み解く着物ファッション」の拡大版です。(2014年の講座レポートはコチラの記事を御覧ください→「人物像で読みとく着物ファッション」についてのレポートです」)

早稲田大オープンカレッジでの講座は今年で3年目となりますが、これまで、人物像、日本文学、歌舞伎、などなど、さまざまな視点から着物ファッションを見て参りました。が、毎回時間が足りなくなってしまうのが、気になっておりまして…。そこで、今年は、春・秋と連続した講座にすることで、従来よりも詳しく、深く、着物ファッションを見ていきたいという趣旨ではじめました。

講座内容としては、当時の装いの「ルール」について細かく解説するだけでなく、その背景にある「歴史・変遷」について詳しく見ていきながら、さらに、歌舞伎・日本舞踊・浮世絵・映画・文学などの諸芸術文化における「装いの描かれ方・現われ方」といった文化史的な側面も、楽しみつつ見ていきたいと思います(つまり、基礎編+応用編です)。




なぜ「人物像」を設定するのか?


それから、なぜ「人物像」を設定するのか? についても書いておきたいと思います。

講座やトークイベントなどでもずっとしつこく(笑)言っているのですが、私は、キモノを知るためには、「誰がそれを着るのか?」について知ることがとても大切だと考えています。なぜなら、そもそもキモノの内容というのは、身分・職業・性別・年齢・境遇…といった、それを着る人の社会的立場によって、その内容が大きく変わってしまうからです。

もちろん、「いつ着るか?」(TPO=季節・場所・機会(Time・Place・Occasion))によっても、内容はかなり変わりますよね。それは今でも同じで、現在出回っているキモノのhowto本でも、TPOについてはかなり詳しく説明されています。だけど、江戸時代は、「いつ着るか?」を考えるよりも前に、そもそも「誰が着るのか?」がとにかく一番大事なことでした。

なぜなら、着るものは、個人の趣味選択にまかされている現代とは違って、当時は、社会的立場を示す記号のような役割を持っていたから。着るもの身にまとうものというのは、「階級」「立場」を示すための大事なツールだったわけですね。

そうしたことから、私は、キモノについて語る際には、「人物像=キャラクター」を具体的に設定して、その「基本の型」を解説する、という方法をとってきました。もちろん、「一概に言えない」ということもあると思います。どんなものにも「例外」はありますから。でも、「基本」の型を知らなければ、「例外」も分かりません。なので、講座では、あえて「江戸時代の典型的な人物像・キャラクター」を設定して、その基本形を解説する、というかたちで解説することにしています。



現代のキモノルールが、分かりづらい理由とは?


さらに、ちなみに…なのですが、現代のキモノのルール(特に「格」の問題など)が、私たちにとってどうも分かりづらい(というか、ピンとこない)大きな理由として、「現代のキモノ文化の中に、実は、『昔の身分制に基づいて成立していたキモノルール』が、こっそりと生き残っている」ということが挙げられるのではないか、と私は考えています。

つまり、近代に入って、さらには戦後になって、「身分制はなくなりました(タテマエ的には)」とされた時、「『身分制に基づいて秩序づけられていたキモノルール』を、これからどのように継承していけばいいのか?」という、引き継ぎ問題が発生したはずで。旧来のルールを「全く無かったこと」にしてしまうのは、キモノ文化そのものの破戒になりますから、それはできない、と(階級制度のなかで誕生し発展してたキモノ文化は、階級制度とどうしても「不可分」の関係にあるからです)。

それでは、どうしたらいいのか? となった場合に、持ち出されたのが、「」、です。つまり、

『身分』じゃマズいなら、『格』と呼べばいいじゃないか!

と。ザックリ言ってしまうと、ですが。

キモノのHowto本をひらくと、当然のごとくサラ〜ッと「格の高い文様の帯が〜」うんぬんかんぬん、と書かれているのをよく目にしますよね。私はキモノ初心者のとき、これが全くわかりませんでした。格ってなに? と。そう、これは、一般のファッション誌で見られるような「エレガントで品格のあるハンドバッグ」的なライターの主観的記述では無いのですよ。「格の高い文様」という言い回しには、「そもそもは身分の高い人が身につけるべき文様」という歴史的背景が、こっそりと隠されているのです! そんなこと、現代に生きている庶民の私がわかるわけがないですよねぇ(笑)。

そう、「格」を「身分」を読みかえると、着物ワールドがわりとスムーズに理解できる!!!

…と、誰ひとり書いてもいないし言ってもいませんが(笑)、わりと間違っていないのではないか、と自分では思っています。



というわけで、何が言いたいのかというと(笑)、過去の(身分制に基づいた)キモノルールが分かれば、現代のキモノを理解するのにも役に立つ! ということです。もちろん、さまざまな日本文化(歌舞伎、日本舞踊、浮世絵、美人画、江戸文学、日本文学、日本映画など)をより深く理解し、より繊細に味わえるようになります。これは、一生ものの楽しみですよ〜。

そんな、楽しい土曜のお昼タイムを、皆さんと過ごせたら嬉しいです…! ぜひぜひ、お気軽にご参加くださいませ♪




おまけ。

以下は、大好きな英山の浮世絵を使って、吉原の花魁道中について解説しているスライドです(昨年の講座で使用)。このような感じで、ヴィジュアル資料を使って、解説していきます!


井嶋ナギ講座_吉原花魁道中1



井嶋ナギ講座_吉原花魁道中





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早稲田大学エクステンションセンターの講座に関する記事

「人物像で読みとく着物ファッション
    〜花魁、芸者から町娘、モダンガールまで」

「人物像で読みとく着物ファッション」についてのレポートです

「着物で読み解く名作日本文学
    〜夏目漱石から、泉鏡花に永井荷風、有吉佐和子まで」


「歌舞伎で読み解く着物ファッション
    〜花魁、芸者から御殿女中、町娘に悪婆まで」

「歌舞伎で読み解く着物ファッション」についてのレポートです

「江戸のラブストーリー『人情本』に見る、江戸娘の着物ファッション 〜『春色梅児誉美』を読んでみませんか?」

「名作映画に描かれた日本の美と享楽の世界
   〜歌舞伎、浮世絵から、任俠、花柳界、戦前モダン文化まで」


「人物像で読み解くキモノファッション文化史 Ⅰ
   〜花魁、太夫から、町娘、お姫様に悪婆まで」


早稲田大学オープンカレッジ講座「人物像で読み解くキモノファッション文化史 Ⅰ」のお知らせ

News キモノ 江戸


お知らせです。去年に引き続き、今年も4月から、早稲田大学オープンカレッジにて講座をおこないます…!

井嶋ナギ2016春講座


人物像で読み解く「キモノファッション文化史」Ⅰ
  〜花魁、太夫から、町娘、お姫様に悪婆まで〜


【日程】4/16(土)、4/23(土)、5/07(土)、5/21(土)、6/04(土)
【時間】13:00~14:30(90分)
【場所】中野校キャンパス →MAP
    (JR中央線、JR総武線、メトロ東西線 「中野駅」徒歩10分)

【講義概要】
着物が日常着だった江戸〜昭和初期にかけて、身分や職業、年齢などによって装いに差異・特徴があるのは当然のことでした。
そうした時代の「装いのルール」や「歴史」について、具体的な「人物像」(花魁、太夫、女房、町娘、姫君など)を設定しながら、分かりやすく解説します。
また、歌舞伎、日本舞踊、浮世絵、映画、文学などの諸芸術文化における「装いの描かれ方」についても、資料を鑑賞しつつ理解を深めていく予定です。

【各回の講義予定】
4/16 花魁・太夫(1) : 吉原と島原を中心に、遊郭の遊女たち
4/23 花魁・太夫(2)
5/07 町娘・姫君(1) : 江戸で人気の町娘、そして武家のお姫様
5/21 町娘・姫君(2)
6/04 女房・悪婆  : 江戸と上方の女房、悪婆というアバズレ女

本講座の続編『人物像で読み解く「キモノファッション文化史」Ⅱ』は、今年秋10・11月に行う予定です。


【受講費】
早稲田大学オープンカレッジ会員の方 11,826円
早稲田大学オープンカレッジ会員ではない方(ビジター) 13,608円

【早稲田大学オープンカレッジ会員について】
・会員の有効期限は、入会年度を含めて4年度間(3月末日まで)
・入会金8,000円
・入会金6,000円の特例あり(ビジターとして過去に受講された方、早稲田大学オープンカレッジ会員の紹介、早稲田大学卒業生、早稲田大学在学生父母、東京都新宿区・中央区・中野区に在住・在勤の方、ほか)
・会員にならずにビジターとしての受講も可能です
・詳細はコチラを御覧ください

【申込受付】一般・ビジターは、3/10より受付開始
【申込方法】Web、Tel、Fax、各校事務所窓口 にて受付中
・詳細はコチラを御覧ください



本講座はどのような内容なのか?


というわけで、今年の講座は、おととし2014年に開催した「人物像で読み解く着物ファッション」の拡大版です!(2014年の講座レポートはコチラの記事を御覧ください→「人物像で読みとく着物ファッション」についてのレポートです」)

2014年から2年間、人物像、日本文学、歌舞伎、などなど、さまざまな視点から着物ファッションを見てきましたが、毎回時間が足りなくなってしまうのが、気になっておりました…。そこで、今年は、春・秋と連続した講座にすることで、従来よりも詳しく、深く、着物ファッションを見ていきたいと思っております!(本講座の続編にあたる『人物像で読み解く「キモノファッション文化史」Ⅱ』は、今年の秋10・11月に行う予定です!)

講座内容としては、当時の装いの「ルール」について細かく解説するだけでなく、その背景にある「歴史・変遷」についてもひも解きながら、さらに、歌舞伎・日本舞踊・浮世絵・映画・文学などの諸芸術文化における「装いの描かれ方・現われ方」といった文化史的な側面もしっかり見ていきます(つまり、基礎編+応用編です)。

とにかく、今まで時間の関係でご紹介できなかった資料や映像がたくさんあるので、できるだけ具体的な資料を鑑賞しながら、より楽しく、より多角的に、着物が日常だった時代を “肌で感じ取りながら” 理解できる内容にしたいと思っております。

初めて受講される方はもちろん、過去に受講くださった方にも楽しんでいただけるよう、新たな資料をお持ちして、よりディープにマニアックに(笑)お話する予定です!



なぜ「人物像」を設定するのか?


それから、なぜ「人物像」を設定するのか? についても書いておきたいと思います。

講座やトークイベントなどでもずっとしつこく(笑)言っているのですが、、私は、キモノを知るためには、「着る人」について知ることがとても大切だと考えています。なぜなら、キモノは身分社会のなかで発展してきた服飾文化であるため、身分・職業・性別・年齢・境遇…といった条件によって、その内容が大きく変わってしまうから。さらに言えば、季節・場所・機会(Time・Place・Occasion)によっても内容が変わりますが、これは今でも同じですね。「いつ着るのか?」ももちろん大事ですが、その前に、「誰が着るのか?」が、当時は最も大事だったわけです。

そうしたことから、キモノについて語る際には、「人物像=キャラクター」を具体的に設定して、その「基本の型」を解説する、という方法をとってきました。もちろん、「一概に言えない」ということもあると思います。どんなものにも「例外」はありますから。でも、「基本」の型を知らなければ、「例外」も分からないものなのですよね…。なので、講座では、あえて「江戸時代の典型的な人物像・キャラクター」を設定して、その基本形を解説する、というかたちで解説することにしています。



現代のキモノルールが、分かりづらい理由とは?


さらに、ちなみに…なのですが、現代のキモノのルール(特に「格」の問題など)が、私たちにとってどうも分かりづらい(ピンとこない)大きな理由として、「現代のキモノ文化の中に、実は、『昔の身分制に基づいて成立していたキモノルール』が、こっそりと生き残っている」ということが挙げられるのではないか、と私は考えています。

つまり、身分制はなくなりました!(タテマエ的には)とされた時、「『身分制に基づいて秩序づけられていたキモノルール』を、これからどのように継承していけばいいのだろうか?」という、引き継ぎ問題が発生したはず。旧来のキモノルールを「全く無かったこと」にしてしまうのは、キモノ文化そのものの破戒になりますから、それはできない、と。その結果、どのような方策がとられたのかというと、「」、です。つまり、「『身分』じゃマズいなら、『格』と呼べばいいじゃないか!」「『身分制度』じゃマズいから、『格制度』を導入しよう!」という経緯があったのではないか、と。ザックリ言ってしまうと、ですが。

キモノのHowto本をひらくと、当然のごとくサラ〜ッと「格の高い文様の帯」うんぬんかんぬん、と書かれているのをよく目にしますよね? 私はキモノ初心者のとき、これが全くわかりませんでした。そう、これは、一般のファッション誌のように「この帯の模様って、品があってエレガントですよね〜」的なライターの主観的記述では無いのですよ。これはつまり、「格の高い・模様のついた・帯」ということであって、それはイコール、「そもそもは身分の高い人のための・模様のついた・帯」ということを、実は意味しているのです!

そう、「格」を「身分」を読みかえると、着物ワールドがスムーズに理解できるようになる!!!

…と、誰ひとり書いてもいないし言ってもいませんが(笑)、わりと間違っていないのではないか、と自分では思っています。



というわけで、何が言いたいのか? というと(笑)、過去のキモノルールが分かれば、現代のキモノを理解するのにも非常に役に立つ! ということです。もちろん、さまざまな日本文化(歌舞伎、日本舞踊、浮世絵、美人画、江戸文学、日本文学、日本映画など)をより深く理解し、より繊細に味わえるようになります。これは、一生ものの楽しみですよ〜。

そんな、楽しい土曜のお昼タイムを、皆さんと過ごせたら嬉しいです…! ぜひぜひ、お気軽にご参加くださいませ♪




おまけ。

以下は、大好きな英山の浮世絵を使って、吉原の花魁道中について解説しているスライドです(昨年の講座で使用)。このような感じで、ヴィジュアル資料を使って、解説していきます!


井嶋ナギ講座_吉原花魁道中1




井嶋ナギ講座_吉原花魁道中






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