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増上寺「LOTUS 伝統文化の持つ力」日本舞踊ワークショップ、レポート! 

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先日、増上寺にて、東日本大震災支援チャリティイベント 日本伝統文化ワークショップ「LOTUS 伝統文化の持つ力」が開催されました!
前記事(⇒コチラ★)でもお知らせ致しましたが、花柳美嘉千代先生の門下として、今年も参加させていただきました! そのレポートをしたいと思います♪




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まずは、日本舞踊を鑑賞するコーナー。長唄舞踊『藤娘』(一部)。「藤の精」が現われて踊る……という何ともファンシーな設定ですが、歌の歌詞は、「他のおなごにフラフラしやがる男心が憎らしい」みたいな内容(笑)。




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それから、美嘉千代先生門下で一番お姐さんでいらっしゃる、千代子姐さんの『木遣りくずし』。93歳で、この背筋のピンと伸びた姿勢の美しさ! 背筋を伸ばすには、かなり背筋と腹筋を使います。若い人だって、何も意識しなければ猫背になるのが自然。その自然に逆らうには、日々の努力と意志が絶対に必要なわけで…、頭が下がります。。




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そして、私めが、常磐津舞踊『東都獅子』(一部)を踊りました。小道具は「扇獅子(おうぎじし)」という、扇を2枚重ねたもの。その上にあしらわれた「牡丹の花」+「少しの毛」=「これは獅子です」という公式となります。え、なんで?ですよね(笑)。ちょっと長くなるので、後述いたします〜。


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小道具の「扇獅子」には、長〜い紅絹がついており、最後はブンブン振り回して、絹布の動きの美しさを見せる踊りになりますー。




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長唄舞踊『鷺娘』のなかの、傘づくしの踊り。タレント・舞台女優として活躍していらっしゃる、小島ちはるさんと山口彰子さんです。




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東日本大震災チャリティイベントであることにちなんで、チャリティソング『花は咲く』を、増上寺・光摂殿大広間の仏様の前で(写真の後方)、花柳美嘉千代先生オリジナルの振付けで、踊らせていただきました(美嘉千代先生&名取3人)。
薄地の白い衣裳は、「かつぎ」と言って、中世〜江戸初期に女性が顔を隠すためにかぶったものです。




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日本舞踊ワークショップのコーナーでは、美嘉千代師匠の指導のもと、みなさんと童謡『さくらさくら』を踊りました。みなさん振りをすぐに覚えてしまい、大賑わいのようす♪ 踊りって、本当はみんなで踊ると楽しいですよね〜(盆踊りとかそうですけど)!





それから、私も、他のワークショップに参加させていただきました! 今回はぜひぜひ参加したかった、「三味線(荻江節)」ワークショップ。

荻江節と言えば、私は、玉三郎丈が荻江節で『鐘の岬』『稲舟』『高尾』を踊っていた(⇒DVD『坂東玉三郎舞踊集』シリーズ参照)のを思い出してしまいますが、それ以外はよく知らないので、興味津々…!

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荻江節(おぎえぶし)は、舞台で踊りの伴奏で演奏される「長唄」「清元」「常磐津」とは違い、鳴り物などのお囃子を使わず、本来は舞台の踊りの伴奏はせず、お座敷で演奏されるものだそう。でも、もともとの発祥は「長唄」から、とのこと。

荻江寿愼先生による、荻江節『喜撰(きせん)』の演奏を拝聴(上記写真)。しんみりとした、悪い意味ではなくジミな、シブい曲調で、「江戸中期以降の、裕福な旦那衆の、良いものを浴びるように見たり聞いたり触ったりしてきた果ての、さびれた品のいい趣味の良さ」って、こういう感じだったのかしら…なんて勝手に妄想。長唄が分かりやすいポピュラーソングだとしたら、荻江節は大人好みのシブいジャズみたいな感じ…? とかとか。いや、長唄のあの「何がなんでも踊らせてやる感」は、むしろサイケっぽい気もする、とかそういうこと言いだすとキリがないのでやめます(笑)。

しかし同じ『喜撰』でも、清元の『喜撰』ときたら、これでもかってくらいハデで、にぎやかで、猥雑なムード満載。同じ題材なのに、180度違いますね(笑)。先日お亡くなりになった坂東三津五郎さんが、この『喜撰』を得意にして大切にしていらしたのですが…。そうそう、ちょうど4年前、花柳美嘉千代師匠が国立劇場で『喜撰』を踊られましたが、華やかで色っぽい舞台でした。せっかくなので秘蔵写真をご紹介!↓

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出家した身の喜撰法師が、祇園のウエイトレス美女に一目惚れしてちょっかい出す、というウキウキした内容。(右:お梶=花柳美嘉千代先生。左:喜撰法師=美嘉千代先生のお母様である花柳嘉晁先生)

やがて、大勢の所化(坊主)たちが、「おししょーさまー!おししょーさまー!」と言いながら、喜撰法師を迎えにやって来ます。

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私も大勢の所化のひとりとして踊りました(左)。昔々は「一休さんみたいな格好するの恥ずかしい、ヤダ」なんて思ってましたが、一度やったら楽しすぎた(笑)! また所化コス、やりたいです。所化役が必要な方、いらっしゃったらぜひお声かけてください(笑)!




と、話は戻って。

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三味線を触ってみようコーナーでは、三味線体験も! 長唄系だから、やっぱり細棹! しかし、私、むーかーしむかしの大学時代、箏曲部で三味線やってたのですが、あの頃はツボ(音階ごとに三味線の弦を押さえる位置)も覚えてて『萬歳』とか弾けたのに、何ひとつ覚えていない…。この写真でも、手の位置間違ってる…(バチはもっと、三味線の枠(端)ギリギリのところで弾くものだそうです)。





そんなわけですが、日本伝統文化ワークショップ「LOTUS 伝統文化の持つ力」、今年も参加させていただき、とても楽しかったです。そして、いらっしゃってくださった皆様、ありがとうございました!

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(使用した写真はほとんど、LOTUSの香田様撮影のものをいただきました。ありがとうございました!)


あ。「牡丹の花」+「少しの毛」=「これは獅子です」については、書く時間がなくなってしまったので、、次の記事で書きたいと思います〜!




—— 関連記事 ——


■ 2015年の記事 
3/14「伝統文化の持つ力」@増上寺:日本舞踊ワークショップのお知らせ。
■ 2014年の記事 
5/11 「伝統文化の持つ力」@増上寺:日本舞踊ワークショップのお知らせ。
■ 2013年の記事 
8/31 「伝統文化の持つ力」@三溪園:日本舞踊ワークショップのお知らせ。
■ 2012年の記事 
9/2 三溪園でのチャリティイベント「伝統文化の持つ力」のお知らせ。もしくは、近代の「数寄者」について。

■「LOTUS 伝統文化の持つ力」を主催していらっしゃる、茶人の松村亮太郎さんの茶道サロン
SHUHALLY(守破離)・文彩庵

■ 徳川将軍家の菩提寺だった、増上寺(港区芝)
増上寺




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