井嶋ナギの日本文化ノート

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新しいキモノ店「KAPUKI」と、新しいキモノブランド「Elly & Oby」! または、ファンタジーの必要性について。

キモノ


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ついに春になりました。桜が満開ですね!

とは言え、私はわりと以前から、満開の桜を眺めるのは、ほどほどにしております(笑)。散歩がてら、遠巻きにサラ〜っと眺めるくらいでしょうか。私ががぜん燃えるのは、桜の花びらが散りまくる「花吹雪」の時期、です! 渋谷のとある場所に、「花吹雪」の隠れた名所(と私が勝手に決めている場所)があるのですが、都会の花吹雪はスゴイ。日が落ちて、街灯に照らされつつ、地面に散りつもった花びらが、車の往来でもうもうと巻き上げられる風情は、『鷺娘』の地獄責めのシーンのようで、わりと「ソウゼツ」なものがあり、陰気な趣味のある私の胸を打つものがありますー。

なんていうマニアックなお花見ネタはともかくとして。正当派もマニアック派も、どちらもやはり心躍るのが、中目黒の目黒川沿いの桜並木ですよね! そんなオシャレお花見スポットに、私も先日行ってまいりましたー♪ なぜなら、素敵なキモノショップ「KAPUKI」がOPENしたから、です!!!!!

(注! 私のお店ではありません。KAPUKIへのお問い合わせは、コチラへお願い申し上げます…!)


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もしかしてN.Yのショップですか?な雰囲気の、「KAPUKI」。中目黒駅から目黒川ぞいの道(左側)を、桜を眺めながら5分ほど歩くと、現れます!

■「KAPUKI
東京都目黒区東京都目黒区青葉台1-25-3
OPEN 11:00~18:00
CLOSE 火曜・水曜  月曜は予約制(前日までに要連絡)
公式サイトはコチラ

お店の名前は、「カブキ」じゃなくて、「カプキ」。店主のレイコさんと、クリエイティヴディレクターの腰塚光晃さんに聞いてみたところ、「現代において、『かぶく』という精神を、日本のハイファッションであるキモノで追求していきたい」といったお話を伺いました。でも、かと言って固定されたイメージのある「カブキ」では違うと思い、そこはかとなく滑稽味とかふざけた響きのある「カプキ」にしたのだとか。何だかギリシア語みたいでカッコイイ。


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店内のようす。「KAPUKI」クリエイティヴディレクターの腰塚光晃さんがプロデュースしている「Elly & Oby」の着物や、おなじみ「月影屋」の帯が!!



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反物もたくさん。「KAPUKI」オリジナルの反物をはじめ、江戸前浴衣の老舗「竺仙」の反物や、さまざまな産地から仕入れた反物がズラリ。紬ファンのあこがれ「本場結城紬」も、通常の呉服屋さんよりリーズナブルな価格で置いてあるとかとか…?! 紬好きは要チェック。




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そのほか、お仕立て済みの浴衣(「月影屋」や「KAGUWA」の浴衣も♪)や、デニムの着物、下駄や草履、かんざしや和装小物、着物に合うクラッチバックなどなど。もちろん、女性だけでなく、男性用の商品もたくさんあります(デニム着物とかオススメ)。



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キャー。「KAGUWA」さんのかんざしの横に、拙著『色っぽいキモノ』(河出書房新社)が…!!! 現代この本を在庫している書店も少なくなっているので(笑)、もし拙著ご入用の場合は「KAPUKI」へ!




実は、店長のレイコさん、拙著『色っぽいキモノ』を昔から愛読してくださっていたそうで、初めてお会いした時こうおっしゃいました。「『色っぽいキモノ』は、大事な本をならべる棚に置いてたのー! 『spectator』っていう雑誌の横にいつも置いてたんだからー!!」と。…ス、スペクテイター…? わ、私も愛読してました〜〜 「就職しないで生きるには?」号、とか(笑)。

そんな楽しいキャラクターのレイコさんは、細身長身のクールビューティ! モノホンの美女、です(笑)。紺色の結城紬をあんなにかっこよく着こなせる人を、初めて見ました。紬って、一歩間違えると、野暮ったくなることもあるのですが、レイコさんは違います。レイコさんが結城紬を着ていても、なぜか紬に見えない(笑)! 「せっかく本場結城紬なのにぃ〜」って言われちゃうかもしれませんが(笑)、そんなレイコさんの着こなしを眺めるだけでも、「KAPUKI」に足を運ぶ価値アリです。



さらに、「KAPUKI」のクリエイティヴディレクターをつとめる腰塚光晃さんは、さまざまな媒体で活躍されているファッションフォトグラファー。サイトをご覧いただければ一目瞭然ですが、凄いです、作品が!!!! カッコ良すぎる!!!! って、シロウトの私が言ってもあれですが、、なんていうか、「エッジ」が「ゴリゴリ」っと効いていてグッと「抑制」が効きつつも「ギラギラ」っとした感じ(笑)が、もの凄く好みです。とにかく作品が素晴らしいので、サイトをぜひご覧ください〜。腰塚さんの作品集『JAPANESE』も素晴らしいです!

そんなフォトグラファーの腰塚さんは、伊勢型紙を使ったフォトシリーズに取り組んだのがきっかけで、昨年、キモノのブランドを立ち上げることに。それが、「Elly & Oby」(エリィ&オビィ)! エリ(襟)オビ(帯)ですよ、このネーミングセンス(笑)! もちろん「KAPUKI」で取り扱い中です。そして、腰塚さんが撮影した「Elly & Oby」のファッションフォトが、素敵すぎ……。↓


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さらに、ちょうど今、「Elly & Oby」の図案を担当された西岡範敏(西岡ペンシル)さんの個展「ニュー・文様展」が、代官山「Gallery speak for」にて開催中なんです(4/9まで)。この方のセンスもとんでもなく凄くて、、驚きました…。そんな西岡さんがデザインされたキモノの展示もあります。紫が一番好き、ぼかしも大好き、の私としては、ツボすぎてしばし陶然…。↓

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実は、この「Elly and Oby」立ち上げに際して、私も何度かMTGに参加させていただいたのですが(といっても何もお力になれませんでしたが…)、このブランドも「夜のキモノドレス」な感じの、ありそうでなかったコンセプトが素晴らしい! ここまで突き抜けてくれると、爽快! かなり、かぶいてますよね(笑)。


つくづく思うのですが、こういう「Elly and Oby」のようなブランドを作ってくれる方が現れた、っていうことが、どれだけ日本人にとってありがたく貴重なことか! キモノ好きならわかりますよね(笑)? つまり、私が言いたいのは、たとえ、自分ではこういうキモノはなかなか着れなかったとしても、人にはやはり、「ファンタジー」や「ストーリー」が必要だということなのです。

よくあるキモノのカタログ的グラビアを見ると、ファンタジーが無さすぎて、悲しくなりませんか? 美術館レベルの高級なキモノを着て、200万円くらいする帯を締めても、なんだか「本日、タクが叙勲されるんざぁますの」な雰囲気で棒立ちしてる紙面では、ファンタジーもなにも…。だって、私、そういうファンタジー(叙勲とか)は欲していないんだもの。って、あらっ、そういうファンタジー(叙勲とか)を欲してる人、もしかして普通にいらっしゃるのでしょうか?(私の周囲にいないだけ?)。

洋服だって、コレクションや雑誌のグラビアを見ても、正直言って「これはとても現実的ではないわー」って思わせるものはたくさんありますけど、でも、やはり、そうした「ファンタジー」や「ストーリー」を作り上げることで、ファッションという文化を活性化させ、それによって多くの人々を魅了しているわけですよね。私も、実際に着たことはありませんが(笑)、ディオールのコレクションの写真とか見るの、好きです。

そういえば、昨年夏の『COMMERCIAL PHOTO』(2013年8月号)が、KAPUKIクリエイティヴ・ディレクターの腰塚光晃さんの特集だったのですが、腰塚さんのインタビューでの以下の発言に首肯しまくりでした。

僕の中では「ファッション写真=実験写真」なんですよ。写真の歴史の中で、ファッション写真は常に実験的なトライをしながら、新しい表現をずっと作り続けてきたじゃないですか。僕の根本的な部分には「見たこともないもの、見たこともないヴィジョンでみんなをびっくりさせたい」ということがあって
ファッションって、本当は枠の中からはみ出ていくものだと思うんです。でも現状を見ると、日本のファッションフォトの多くは「ファッションという枠にはめ込むこと」が仕事になっている。そこは僕としては、あまりいい方向に行っていないなと、正直思うところもあるんですね。
そこで「この国のオリジナルのハイファッションとは何なのか?」を突き詰めた時、その答えが着物だったり、伊勢型紙だったりしたんです。
自分で着物をプロデュースしたのも、(中略)呉服の世界では「着物はこう着なくてはいけない」ということで固まってしまっていた。それを解き放つことによって、もっとハイファッションとして世界に通用するものになると考えたからなんです。



私が昔からイチオシの「月影屋」さんも本当にそうなのですが、「抜群のセンス」は当然のことながら、それだけではなく、さらに「魅力的なファンタジーを見せてくれること」が、実は、もの凄く、もの凄く、重要だと思うのです。結局私は、キモノというファッションにおけるそうしたファンタジーを求めて、一人でセッセセッセと(笑)、古い日本映画や、浮世絵や、美人画などを漁ってきたわけで。だって、現代のキモノ業界周辺には、私の欲しいファンタジーが存在しなかったんだもの。『色っぽいキモノ』で取り上げたさまざまなストーリーやエピソードだって、そんなキモノファンタジーを作り上げるピースでもあったと、つくづく思います。

そんな「夢見がち」な人間は、洋服と同じようにキモノでも、腰塚さんが言うような「びっくりさせるようなヴィジョン」を見せてほしいのですよね〜! なんと、我がままな(笑)。だけど、そういう「夢見がち」な人間の欲望に応えてくれる、そんなキモノブランドがまたひとつ増えたことは、とにかく有難いことで。キモノというファッションにおいて、「叙勲」とか「お茶会」とか「サザエさん」とか「白洲正子」とかじゃないまた別のファンタジーを欲していた私としては、非常に心躍る嬉しい出来事だと思っています(注意。別に、叙勲とかお茶会とかサザエさんとか白洲正子がダメって言ってるわけではありません。ただ、それ以外のファンタジーもほしいと思っているだけです。念のため)。


そんなわけですが、中目黒の桜並木沿いにできた、新しいキモノショップ「KAPUKI」、お花見がてらのぞいてみてくださいね! 特に、個人的には、桜が散りまくる「花吹雪の時期」が、オススメです!





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■「KAPUKI
東京都目黒区東京都目黒区青葉台1-25-3
OPEN 11:00~18:00
CLOSE 火曜・水曜  月曜は予約制(前日までに要連絡)
公式サイトはコチラ




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